7.ドッキリ企画

 皆さんこんにちは。今日の放送内容は、久しぶりのドッキリ企画です!

 ターゲットはキャプテンの工藤陽葵さんと私の同期の山内美月の2人です!本日の進行は私、井上柚葉ゆずはが務めさせていただきます。


 今回のドッキリの内容は収録が機材トラブルで中断になったところで、待機中の楽屋を隠し撮りしちゃおうという内容です。

 皆さんからのお手紙やメールで陽葵さんと美月は本当に仲がいいのか? と言う疑問を沢山頂いたので今回の企画になりました。今回は2人以外の全員が仕掛け人です。


 この放送を見てもらえばわかると思うのですが、カメラがない時でも本当に仲がいいんですよ! 普段もずーっとイチャイチャしてます。笑

 きっと今回もそんな姿が見られると思うので楽しみにしていてください! 特に、普段カメラが回っている時はキリッとしている陽葵さんが美月といるともはや別人なので必見です! 陽葵さんファンの方はイベントとかで知ってますかね?


「皆さんこんにちは。工藤陽葵です。今日の企画は、チーム対抗アウトロクイズ対決ー!」

「「「いえーい」」」


 はい、もちろんニセ企画です。これも普通にやりたいですけどね。


「まずは練習問題行きますよー。……曲流れます??」

「え、練習問題からトラブル??」

「もう陽葵さんが歌ったらいいんじゃないですか?」

「それいい!」

「え、なんでよ?!」


 早速陽葵さんがメンバーから弄られてますね。ここでスタッフさんから、一旦中断の連絡が入りました。

 陽葵さんはスタッフさんに状況を確認に行ったので他のメンバーで先に楽屋に戻ります。


「美月、こっち来て」


 凛花さんがカメラがある付近に美月を誘導してますね。陽葵さんは美月がいる場所に来るはずなので。


「凛花さん、どうしたんですか?」

「これ、人気のネイルらしいんだけど、美月がするならどれ?」

「……それ私に聞きます? 私ネイルとかした事ないですけど」


 スマホを見せて意見を聞いているけれど、美月はちょっと不思議そう……凛花さんしっかり!!


「……確かに、見たことないかも」

「爪弱いので無理なんですよね。でも凛花さんがするならこのピンクが似合うと思いますよ」

「あ、確かにいいかも」


 いざ話題をってなるとなかなか難しいですよね……なんとか陽葵さんが来るまで引き止めてくださいよー


「美月さん、この前のバーベキューの写真、SNSに載せてもいいですか?」

「焼きそばの以外ならいいよ」

「え、焼きそばのやつは必須ですよね?」


 今度は後輩に囲まれてますね。美月は後輩たちに大人気で、ガチ恋の子がいるんじゃないかってちょっと心配です。美月は陽葵さんとラブラブですからね。全く罪な女ですね!


「焼きそばのって何ですか??」

「この前のMV撮影の時、お昼のバーベキューで美月さんが焼きそば焼いてる写真を撮ってて」

「え、見たいです!」

「わ、焼きそば焼いてるだけなのにイケメン」

「……そのコメントはおかしくない??」


 本気で困惑してて見てて面白いですね。こんな光景も楽屋では日常的に見られます。


「いや、本当に美月さんイケメンですよ! 顔面綺麗すぎですもん」

「そんなことないから」

「本当に載せちゃダメですか?」

「見たい人いる? 焼きそば焼いてるだけだよ?」

「「います!」」


 後輩の勢いに押され気味ですね。美月は優しいからなんだかんだOKしちゃうと思います。


「……どうぞ」

「ありがとうございます! 早速載せますね!」

「お、なんか盛り上がってる? まだかなりかかりそうな感じだったよ」


 わちゃわちゃしているうちに陽葵さんが戻ってきましたね! いよいよ本当の企画がスタートします!


「結構かかりそうなら、ちょっと飲み物買ってきます」

「あ、私も行くー」

「え、そんなに大人数で行くの??」


 陽葵さんが困惑するくらいの人数が楽屋を出ていきました。ちょっと怪しいですかね?


「随分人減りましたね。ここ座ります?」

「だね。みんなそんなに喉乾いてたのかな……?」


 予定通り、美月の傍に陽葵さんが来て、いい位置に座ってくれました。バッチリ撮れてます。


「あ、なんか衣装の装飾が取れたんだけど……ちょっと衣装さんの所行ってくるわ」

「行ってらー」


 今度は凛花さんが楽屋を出ました。他に残ってるメンバーも何かと理由をつけて楽屋を出て、遂に2人だけになりました。


「ねえ、なんかみんな居なくなったんだけど……」

「ジュース買いに行った組がすぐ戻ってくるんじゃない?」


 陽葵さんがちょっと疑ってますね。美月はあんまり気にしてなさそう。


「んー、なんか変だけど……もしかして気使われた?」

「??」

「ほら、この前凛花がさ、みんながいても普段通りにしたらって言ってたやつ」

「でもあの時居なかったメンバーも居るよね?」

「そうだよねぇ……」


 説明しますと、美月は2人だと敬語を使っていないらしくて。でもメンバーがいると、ちょっと距離を置いているというか、ちゃんと先輩に対する態度って言う感じに切り替えているらしいです。

 この前のMV撮影の帰りのバスで発覚した事実らしいです。私は席が遠くて残念ながら知らなかったのですが……ちなみに、今は2人なので敬語使ってませんね。


(柚ちゃん、実況おつかれ!)

(みんな楽屋出ましたけど大丈夫そうですか?)


 楽屋を出たメンバーがモニター室に移動してきました。一気に賑やかになりました。


(陽葵さんがちょっと疑ってますが今のところ順調です)

(やっぱりさ、ジュース大人数で買いに行きすぎだったよね)

(確かにあれは怪しかった)


 さて、楽屋の方はどうなってますかね?


「みつきたん、何見てるの?」

「さっきこの前のオフショットの話してて。私も投稿しようかなと」

「へー。いいのあった?」


 早速陽葵さんが甘えてますね。座ってる美月を後ろからハグしてスマホを覗き込んでいますよ!


(ねー!! 可愛すぎる)

(陽葵さんにハグされて動じてない美月さんも凄いよね)

(私なら緊張しちゃって絶対無理!!)

(美月さんはもう慣れてるんじゃない?)


「これとか?」

「あ、可愛い」

「そういえば陽葵ちゃんが撮ってくれた写真貰ってない」

「送ってなかったね。今送る。……あ! 待ってキャンセル」

「え、何?」


(凛花さんが撮ったやつも送ろうとしたパターンですかね?)

(陽葵って普段は意外と抜けてるから有り得る)


「何でもない! はい、受け取ってー」

「ありがと。ちょっと他の写真も見せてもらってもいい?」

「……え?」

「いつもは陽葵ちゃんから見せてくるのに」


 なんだか押されてる陽葵さんって珍しい気がしますね。じーっと見られて、渋々スマホを渡しています。


「これって……?! いつの間に……」

「可愛いでしょ? ちなみにロック画面。凛花が撮ってくれたの」

「え、嘘でしょ? ロック画面なの?!」


(どんな写真ですか?)

(美月が陽葵の肩で眠ってる写真)

(そんな写真が……!! 載せてくれないですかね?)


 私は実際に目撃しましたよ。それはもう安心しきっててこっちまでほっこりしました。


「ほんと。ちなみに、美月に残念なお知らせ。バスに乗ってたメンバー殆どに目撃されてます」

「うっわ……最悪っ!!」


(目撃しましたー! なんかもう、尊かった……)

(私も見たかったな)

(もうね、美南ちゃんと望実ちゃんが興奮しすぎてやばかった)

(あ、想像つくわ)


「せめてさ、ロック画面は変えて?」

「えー、可愛いからやだよ」

「通知来る度に見えちゃうじゃん。あ、これにしよ」

「後で戻しておくからいいもーん」


 美月が待ち受けを変えたみたいですね。やり取りがもう恋人じゃないですか?


(はあ……可愛い)

(2人でいる時の陽葵さんの甘えたな感じ何なんですかね??)


「それにしてもみんな遅くない??」

「遅いね。みんなでどこか行ったのかな?」

「時間もあるしそうかもね。……ふぁー」

「眠い? 膝枕する?」

「え、いいの?」

「うん。この前肩貸してもらったお礼。おいで?」


 あ、カメラの範囲外に移動されてしまいました……が、実はカメラは1台じゃなくて。部屋全体が映るように設置された方ではバッチリ映ってます。実況しますと、美月がソファに移動して、膝をぽんぽん叩いています。このソファはメンバーがよく仮眠しているところです。

 それにしても美月ってメンバーがいないと甘々なんですね。ちょっとメンバーのテンションが上がりすぎてやばいです。


(おいで……?!)

(私も美月さんに言われたい!!)

(イケボすぎて鼻血出そう……)


「陽葵ちゃん髪さらさら」

「ちゃんとブローしたからね」

「珍しい。偉いじゃん」

「でしょー。やらないとみつきたんが怒るから」

「せっかく綺麗な髪なんだから」


 それにしても、陽葵さんの頭を撫でる美月の表情が優しすぎて……もう付き合っちゃえばいいのに。あ、すみません私の願望がつい。


(皆さんも見たいだろうし、そろそろ突撃する?)

(行っちゃいます??)


 そうですね。いい感じに楽屋での2人もお見せできたと思うので、ネタばらしに行きたいと思いまーす。


「あ、皆お帰り!……って何?? え、カメラ??」

「あれ、柚は今日別の仕事って言ってなかった??」


 カメラに気づいて、陽葵さんが膝枕をされたまま不思議そうにしています。美月は頭を撫でていた手がさ迷ってますね。状況が理解できていないみたいです。


「うん、別の仕事がこれ」

「え、何何? こわ」


 美月と、今日は現場が別だねって話していたんですよ。


「みんな居なくなるし、遅いなって思いましたよね?」

「え、思った。遅いねって言ってたもんね?」


 陽葵さんが美月を見上げると、美月も頷いています。


「せ~の、「「ドッキリー、大成功ー!!」」」

「はっ??」

「実はですね、ここに隠しカメラがセットしてありました」

「嘘でしょ?!」

「じゃーん。気づかなかったですよね?」

「え、近すぎ……気づかなかった」


 2人とも気づいていなかったみたいで呆然としていますね。


「今日の本当の企画は、陽葵さんと美月は本当に仲がいいのか? 内緒で楽屋の様子大公開スペシャルー!! です」

「え、そんなタイトルなの?」

「あ、今考えました」


 美月、気になるところそこ??


「陽葵と美月が番組でイチャイチャしたりするけど、本当はどうなのかってお手紙とかメールを沢山頂いて、それなら楽屋の様子を見てもらおうって事になったらしいよ」


 凛花さんが状況を説明してくれています。


「そういうこと……え、じゃあ機材トラブルは??」

「ただ音流さなかっただけで壊れてません」

「アウトロクイズは?」

「あ、偽企画です」

「みんな居なくなるから変だなとは思ったんだよね」


 ですよね。陽葵さん怪しんでてちょっとやばいかなって思いましたもん。でもこれはいい映像が撮れましたね。皆さんお気づきですか? 今も膝枕のままなんですよ。


「全カットでお願いします」

「ダメですー!」


 美月、そんなに嫌そうな顔してもダメですよ。


「皆さん、今日の放送はいかがでしたかー? うんうん、楽屋での様子が見られて楽しかったですよね。それではまた次回放送もお楽しみに。本日は井上柚葉がお送りしましたー! ばいばーい」


「はい、OKです。今日の収録は以上です。お疲れ様でした」


 スタッフさん達が出ていくと、メンバーだけが残されました。


「え、これほんとに放送されるの?」


 陽葵さんが起き上がって困惑顔ですが、そんな姿も可愛いです。彼女感凄かったし、神回になる予感です。


「どんな放送になるか楽しみだね」


 凛花さんがニヤニヤしながら言っていますが、それはニヤニヤしちゃいますよね。


「放送されても見たくない……」


 いやいや、見なきゃでしょ。せっかくならみんなで見たいな。


「美月の家で鑑賞会しよ!」

「絶対いや!」

「じゃあメンバーと見る」

「……それも嫌だな」


 わがままだなぁ……放送が楽しみです!

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