大学を卒業する若者が、「いいひと」であった自分を振り返り、何故自分が「いいひと」だったのか、「いいひと」からの決別を誓うような、そんな物語です。 友達や恋人を喜ばせたい、期待に沿いたいという彼の純粋さとは裏腹に、彼らの仄暗い本性が垣間見える後半部分には、怒りよりもむしろ一抹の切なさを感じました。 いいひとでなくても生きていける。けれど、主人公にはいいひとだった時の純粋さを忘れずにいてほしい。そう思わせる作品でした。