人間とロボット

じょーかーてぃーけーあい

人間とロボット

 とある一室。壁も床も天井も真っ白な部屋。とても清潔にしてあるようだ。部屋には二人。女は立って、男を見ており、男は机に向かって座っている。

 彼女は美しかった。絹のような金髪を持ち、顔立ちは整っていた。一方彼は平凡だった。黒髪、黒目。髪には妙に洒落たパーマがかかっていた。


 彼女が彼に話しかけた。

「ロボットコーガクサンゲンソク、ヲシッテイル?」

低く綺麗な声色だが、たどたどしく、発音も怪しい部分があった。

「あー知ってる、知っているとも。常識だろうぜ。俺を馬鹿にしてもらっちゃ困るねぇ~」

それに比べ、彼は流暢に話していた。彼は何か机で作業しながらも会話を楽しそうにする。彼女は眉を少しだけ顰める。

「ホント?」

「なんで疑うんだよ!」

さらに彼女は眉を中央に寄せ口をへの字にする。

「ワカテイルカ?」

「いやだから、わかってるって。あ~その顔は俺に言ってほしいってことだな。もう解りずらいな。口に出して、言ってくれって頼んでくりゃいいのによぉ」

言葉はめんどくさそうだが、彼自身はとても楽しげである。

「ハヤク」

「はいはい。第一条、ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。第二条、ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。第三条、ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。」

彼は自信満々でそう言い切る。満面の笑みを浮かべていた。

「これでいいだろ、なっ」

「アア、コレニワ、モンダイナイ」

一瞬満足した彼女だが、彼の手元を見て眉を上げた。

「ガ、コレハナンダ」

「何だって、あんたに頼まれていた編み物だよ。ニット帽。よく編めてるだろ」

「コノブブンニ、ミミワツケナイ。ズメンニナイ。ツケタシタナ」

「あぁいいだろ。かわいくねーか。結構言いとおも……」

彼女は徐に右手を上げ、彼の首目掛けて振り下ろした。すると彼の口から抑揚のない機械音が聞えた。

「ピー、キョウセイテイシボタンガオサレマシタ。スベテノプログラムヲテイシシマス」


 彼は動かなくなった。彼女は天を仰ぎ、嘆かわしそう呟いた。その言葉は流暢で発音も綺麗だった。

「Oh, it's a failure. I must report to the headquarters in London. Everything up to number*** failed. I think it is still impossible for humankind to create the ideal robot.」

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