雲は流れ、私は

 雲が流れていく。良く晴れた日は、探しても白い雲がない事も多いから。青に適度に白の浮かぶ空が見れるのは、こっそりレアで良い日だと思う。


 あの雲に乗ってどこかに行けたらなあ。物語で良く乗っかってるから、本当は雲に乗れないって聞いた時ガッカリしたっけ。


 孫悟空とか、ネコ型ロボットの道具とか見て憧れだったのに。でもアレらもタダじゃあ乗れないしなあ。そこで気付くべきだったね。


 見ている間に雲は流れて、視界から遠ざかっていく。首も痛い。私も行かなくちゃ。誰もいないからいいやと空に向かって手を振って、私は飛ばず、雲とは反対方向に走った。走りたい気分だったのだ。きっとすぐ息切れするけれど。




 Twitter300字ss第三十六回お題……「雲」(本文287文字)

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