小さな現代~現代ドラマ・日常掌編集~
豆腐数
彼女の足
足の爪を切るのが下手くそで、爪のかどっこの部分ばかり残って伸びて、しまいには痛がる彼女の代わりに、爪を切るのが習慣になっていた。我ながら男のくせにまめまめしい奴だと思うが、恋人の為に尽すのは悪くない。ソファーに座った身体から伸びる白い股、脛。彼女は僕と会う日は、いつもスカートを履いてセクシャルなアピールしてくれる。その先についた、誰も履けないガラスの靴がはまりそうな足。桜貝のような爪の白い部分が伸びているのをパチパチと切っていく。切り過ぎないよう、目を細め、注意深く。全てが終わると、いつも彼女の足の甲にキスをする。僕は彼女の忠実なる騎士である。
「それ、親父くさい」
僕が気取ると、彼女はいつもそうやって一刀両断する。騎士よりも鋭い、姫の剣。僕が調子をこいてかかとの辺りをくすぐると、彼女は僕の顔に足を当てた。ちょうど足型のスタンプを押すように。彼女の足はひんやりと冷たく、素敵な生命の香りがした。
お題……足(pixiv毎日お題より)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます