私は夜を泳いでいたい
スマートフォンに、お気に入りの寂しい曲を入れて、イヤホン繋げて聴きながら、夜の街に繰り出した。夜の街はもちろん人の気配が少ない。時折通り過ぎる車。まだ灯りのついた家の窓。人とすれ違う事ってほとんどなくて、遠まわしなそれらだけが人の気配を教えてくれる。
私は夜の闇を両腕を突き出しては左右に開く。何度か繰り返して、泳ぐようにして夜を歩く。こんな事をやっていても見咎められる確率が少ないのは良い事だ。こうして夜を掻いていたい。たった一人泳ぐように、夜の街を歩いていたい。
そうして願いながら夜通し歩いていたら、この街には朝が訪れなくなった。
Twitter300字企画第六十七回お題より……「泳ぐ」(本文266字)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます