　みんな浮き足立つこの日。優しく積もった粉雪蹴飛ばし。街は月の初めからずっと、今日という日の歌を奏でて、何十日も前夜祭。

「ジングルベー♪」

「「クリスマスー♪」」

　友と繋ぐ手で暖を取り。女の子達はスピーカー。

「見て見てサンタ！」

　気づかれサンタは嬉しくなる。

「ちっちゃいねー」

　ツリーの小さな飾りでも、サンタの心は真実だった。冬の大気を震わせなくても。心の中で歌う。

「サンタもおめでとうって」

「まっさかあ。でもさっきより楽しいね」

　サンタの想いは世界に溶けて。ほとんど誰も気づかない、楽しいスパイスになった。メリークリスマス。メリークリスマス。どうか良い一日を。

　Twitter300字SS第六回過去お題より……「クリスマス」（本文284字）

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