日本政府所属?異世界航空自衛隊です! 土曜日午後8時投稿
葵流星
転移
第1話 異世界はけっこう近いです。
それは、異様な光景だった。
突然、空が光ったと思ったら…。
今、俺はどこにいるのだろうか…。
……。
さかのぼること、30分前。
俺、長篠 昇(ながしの のぼる)は、友達と一緒に入間航空基地に来ていた。
さして、戦闘機に興味は無いのだが、せっかく誘われたので友達の渡辺達也(わたなべ たつや)と本町 満(ほんまち みつる)とここに来た。
まあ、そうそう基地の中に入れることはないし俺みたいなミリオタばっか来てるわけじゃないから大丈夫だ!
っと渡辺の言葉を信じたのだが、その通りではあるというかないというか「「空女」」と呼ばれる人達が多かった。
「「空女」」とは、映画「白銀のイーグル」に登場する、アイドルグループ「ライジング・サン」のメンバーで坂本 直樹(さかもと なおき)役の源 慎也(みなもと しんや)の影響で航空自衛隊に興味を持った女性達のことをそう呼ぶ。
映画はというと、航空機パイロットを描いたアクションもので、ストーリー自体は単純ではあるものの細部までにこだわりぬいた表現、ミリオタが泣いて喜ぶ小道具などで大ヒットとなった。
そして、このストーリーの面白いことは車の操縦もしたことのないシティボーイが何度も死んでやり直すことでエースになるということだ。
しかも、それがとても泥臭くて、あま苦く、社会的な描写も多かったがそれでも前に進み続ける主人公が観客の心を掴んだのだろう。
まあ、ふつうにいい映画だったよ。
そして、この日も多くの空女が入間基地を訪れていた。
「ええ、皆様線からはみ出さないようにしてくださいよ~。ほら、そこのおにいちゃん、彼女さんを取られないようにねえ~、伊豆の海はトンビだけど入間じゃ鷲だよ~。」
っとどうやら広報担当の人が大衆に声をかけている。
まあ、でも思ったほど不快では無かった。
今、俺がいるのは倉庫の前でここからカメラ越しに期待を眺めている。
あるのはアメリカ軍所属のF-35と、オスプレイ、三沢基地から来たと思われるF-2、百里基地からのF-15、立川基地からのAH-64、AH-1、UH-1、そして、RF-4と、輸送機が4機そこにあった。
後ろの倉庫にはF-22Jが展示されていた。
空は晴れていて、日差しが痛いくらいだった。
何事もなく、予定通りにこの日は進んでいた。
「それでは、続いて日本国首相、永倉信一様よりお言葉を…。」
「ええ、皆様こんにちは。今日はお日柄も良く、絶好のフライト日和ですねえ。私もこんな日は、空を飛ぶのが楽しくて仕方無かったものです。まあ、プロペラ機なもので。」
はははっと、永倉首相の周りの人が笑った。
隣にいる、アメリカの高官も軽く笑っている。
俺は、そんなことはどうでも良かったので人が薄くなったところで写真撮影をしていた。
だいたい、防弾ガラス越しの演説って聞く価値あるの?。
とまあ、そんあ具合で友達2人と離れてしまった。
「続いて、ダグラス・ロッキード様よりお言葉を頂きます。どうぞ…。」
「ハロー、ジャパン。ハロー、入間!」
ここから日本語訳。
「今日は、どうもありがとう。日本とアメリカは今や、世界を担うパートナーである。そして、今この場にいない中国、モンゴル、そして、今も戦い続けている兵士に感謝を。今日、この日を迎えられたことは本当に喜ばしい。明るい未来は、もうすぐだ。私たちの前に立ちふさがるものは無くなるだろう。未来の子供たちに祝福を!」
そうして、アメリカの高官の話も終わった。
そして、それを見送るとF-15J(イーグル)は、滑走路へと向かった。
これが、俺が見た最後の出来事だった。
……。
「なんだ…。」
急に太陽が大きくなった気がした。
上を見ると環状の虹が二つ見えた。
そして、外側の虹が広がり、内側の虹も広がっていった。
「……。」
カメラを上には向けなかった。
いくら、カメラの知識がほとんどないと言っても光量の大きなものにレンズを向けるとどうなるかぐらいはわかっていたからだ。
そして、俺はそこから目を背けたのだった。
……。
「ああ、誰か聞こえるか!今、何が起こっている!言語を日本語にする。誰か、誰か頼む!くっそ…何なんだよさっきの光は…。…このまま、基地まで移動する。」
……。
「おい、状況を確認しろ!」
「…ん?」
「君、大丈夫?」
「えっ、あっはい…みんなは…?」
「どういうことだ!ここにいた、人達は!」
「わかりません!」
「今、人数を確認しました。」
「ああ、わかった。」
「はい、取材班は全員いました。しかし、他の人達は誰も…。」
「ええ~、基地内の各部点検を行っていますので…ええ、…おい、今なんて?はあ、飛んで行ったイーグルが交戦しただと?」
「おい、これは…。」
「スクープですね!」
「今の取ったか?」
「ばっちりです!」
基地は騒然としていたが、声があまりにも少なかった。
「どこだ…ここ…。」
太陽はまだ顔を見せてから少ししか経っていないように見えた。
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