07

「俺を騙そう思て頑張って関西弁使てたみたいやけど、お前の関西弁、所々おかしかったで。俺は根っからの関西人やからな。そないなちょっとした一言でも、違和感があるんや」


「…」


「玄関で俺がお邪魔します、言おうとした時も、お前は必死に止めよった。俺がそないなことしたら、”俺の声”が入ってまうもんな」


「…」


「俺の名前、聞かしたろか。柱谷や」


「柱谷や」


「ほら見てみい。ちゃんと”聞こえる”やないか」


「…」


「お前の居場所、もう分かってしもたで」


「…」


「お願い、もう止めて、パパ」


「もう止めて、どうしちゃったの?ねえ!ママ!助けて!」


「何でそんな怖い目で見るの?」


「噓でしょ…ママぁ!ママぁ!助けて!」


「パパ、どうしてそんなことをするの?」


「止めて!」


「お願い、許して、パパ」


「きゃああああ!痛い!痛い!」


「ママぁ!助けて…!パパが…」


「ぎゃああああああああ!痛い、痛いよぉ…」


「きゃあああ…うっ…!」


「やめ…」


「…」


「成程なぁ。そんな辛いことがあったんやな」


「…」


「さあ、入るで」


「…」


「…俺が電話しとったんは、お前やったんやな」

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