ぼくは誰?

ちい

第1話 変わってる

 いつもどこか周りのみんなとは、違っていた僕。そんな変わり者だと馬鹿にされていた僕が、普通に《変わって》いく。僕は、何になりたいんだろう、。

 小さい頃から戦闘ごっこよりおままごとの方が楽しかったし、友達と遊ぶよりも勉強をする方が楽だった。なんせ、僕には1人も友達がいない。強いていうならお腹を空かせて僕の後をついてきたこのどろどろになった猫だけだった。多分この猫は、白猫なんだろうなということはわかるが、すっかり黒猫。黒猫は、いや白猫か?とりあえず、この猫はもう年寄りに見えた。「可哀想に。捨てられたの??」「・・・」「にゃー」僕と猫の出会いはこうだった。猫だけが友達の僕には当然彼女なんていない。欲しいとも思わなかった。これが変わっている僕の紹介。


 「ねえ、黒猫ー。お前は元の色に戻りたいか??」猫はそっぽを向いたままこっちを向かない。いいよな、猫は。僕は口を尖らせてそう言った。僕はこの黒猫を『こう』と名付けた。幸運の『幸』だ。いつか僕に幸運を持ってきて欲しいと願いを込めて。でもこの時ばかりは嫌味気味に『黒猫』と呼んでしまった。今日僕は殴られたんだ。僕が普通じゃないからきもいって。黒猫と呼ばれたからか幸はずっと顔を伏せた。「なんだよ、幸。ごめんな。」幸は年老いているからか、いつも穏やかな目で僕を見守っていてくれた。そういつの日か僕が殴られて顔を晴らして帰ってきた時も、僕に生きる力をくれていたんだ。変わってる変わってるって言われるけどそんなに悪いことなの??なんで僕は僕のままでいたら嫌われるの??僕は親にも普通にしなさいと言われていたから、幸の前でしか素直になれなかった。でも幸だけはどんな時も僕のそばにいてくれたんだ。味方でいてくれたんだ。だと思っていたのに。

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