1話 特に特徴もない自己紹介

俺は生まれたての新生児、ドレシア・ナーヴェル!!(多分)(やけくそ)

前世で幼馴染でニート仲間の従姉と参考書を買いに行って……

無事に本を見つけ外に出る時だった!!

歩きスマホで画面に夢中になっていた俺の従姉は……

横から突っ込んでくる車に気づかなかった……

俺は彼女を突き飛ばしたのだが、俺は彼女の身代わりとなってしまい、

車にグチャグチャに潰されて死んでしまった……

俺は、死んでしまったはずだったが、目が覚めたら……



身体が縮んでしまっていた!!


というか、生まれ変わった!!


従姉妹がいまだに歩きスマホしていたら、また命を狙われ……じゃなくて危ないのでやめようね!

周りの人間も不幸になる……




俺爆誕から三日くらい経過。



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一週間が経過した。


赤ちゃんの身体というのはとても不便である。

寝返りを打つことすら難しいのだ。

今は勢いをつけてゴロゴロ回転することにより、移動を可能にしている。

無理だと分かっていても早く歩き回りたいと思った俺は、力み過ぎて、思いっきりケツから実がトび出したりした。

アレは大惨事だった。



さて、当たり前のように赤ちゃんライフを満喫しているようだがちゃんと説明をさせてもらう。

と言っても先述の通りなのだが、簡潔にまとめて言うと、

『車に轢かれて、気づいたら生まれ変わった』、ただそれだけ。

まあ、俗にいう異世界転生だ。


補足だが、初めここが俺が元居た世界と同じ世界だと思っていた。

だが、母親(この世界での)が料理をするところを横目で見ていれば、ちちんぷいぷいのように変な詠唱をしたかと思えば、指先からブフオッッと炎が出てくるではないか。

初めは自分の目を疑った。

ビビッてチビってしまったほどだ(なんだろう、俺がお漏らしキャラみたいに定着しそうで嫌だ)。

まるでアニメの中によくある、魔法みたいじゃないか、と。


だが、もしかしたら母親だけが魔法を使える特殊才能を持っているだけで、他の人は使えないのかもしれないと慎重に考えた俺だったが、

もう一つ、ここが異世界だと確定付けるものがある。

それは今俺が握っているボールだ。

このボールには、地球儀のように世界地図が描かれているのだが、どう見ても地球とは違う大陸が描かれている。それぞれの大陸ごとに名前が書きこんであるらしいが、全く字が読めない。



さてここが異世界であるということを語ってきたわけだが、

正直なところ、ここが異世界かどうかなんてどうでもいい。

何せ、こんな不自由な体になってしまっているのだ。

今は丈夫な体つくりをするために、起きて食って寝ることを続けるしかない。

この世界が一体どういう場所なのか。

そんなことを考えるのは身体がしっかりしてきて、他人とコミュニケーションができるようになってからだ。


その為には、ここで今、規則正しい生活を……したいのだが、赤ちゃんの身体というのはこれまた不自由なものなのだ。

生まれてから1週間、真夜中にいきなり目が覚めたり、朝に眠くなったり、と滅茶苦茶な睡眠周期だった。

前世の俺はどうだったかと言えば、親の脛を齧る浪人生(実質的なニート)だったのだが、

案外規則正しい生活はしていた。

7時くらいに起きて、勉強と趣味と休憩がてらアニメを見て、25時くらいには寝る。


丁度前世の話になったところで、自分語りを続けさせてもらう。

前世についてだが、多く語れるものはない。

一つ言えるとするならば、類型的に存在しようとするただ一匹の陰キャオタクであった。

特に他人と関わりを持とうとはせず、ただ自分の趣味に時間を優先して割きたいと考える生物。

だから、他人の目を全く気にせずに、ゲームで遊んだりと自由気ままだった。

勿論、それがあまり良くないことだともちゃんと理解していたのだが、最優先は自分だ、という気持ちの方が強かった。


そんなことを思い返しながら、時は流れる。




少し体勢を変えて窓の外を覗いてみれば、多少は明るい部屋の中からでも綺麗な星が見えた。


もう、すっかり夜だ。


隣を見れば、ぐっすりと熟睡している女性がいる。

別に、俺が特別階級に生まれたから、赤ちゃんの頃からハーレムしているわけでもなく、添い寝させているわけではない。

彼女はこの世界での、俺の母親だ。


今の母親の名前は、リーシア・ナーヴェル。だと思う。

言語が分からないので自分の名前ですら本当に合っているかどうか分からない。


俺の身の回りの世話を丁寧にやってくれる人。

俺が起きているときは大抵いつも起きており、過労で目の下にはくまができているのが、今の俺でもよく分かる。

出産を終えたばかりで辛いはずなのに、何故こんなに働こうとするのだろうか。



ふと、前世のことを思い出す。

前世で俺が赤ん坊だった時の記憶なんて全くない。

だが、今の母親のように優しく育てられてくれたのだろうな。

そんなことを思い耽っていると自分の胸の中が空洞になっている様に感じられた。



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瞼を開けば、見覚えのある白い世界。

そこに広がるのは、この世界に生まれる前に見た、純白の光景。

ただ、白一色しか存在しない。


自然に自分の胸に手が伸びた。

感触を確認すると、目視で見ることなくそのまま手を下ろす。

前の俺だったら、すぐさまに自分の胸出も揉み始めたかもしれないが、生憎賢者タイムのようだ。

はぁ、と軽くため息をつき、空を見上げる。



やはり、この摩訶不思議な純白の世界では、何故か俺は女子になってしまうのだった。

この時の俺は、何故だか自分の性別が変わったことを普通に受け入れてしまっていた。

それは、もう2回目の体験だったからか、それとも……。



何だろう。

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