訳アリッ!ハイスクチルドレン

MACKEY

プロローグ


 夢を見る、夢を見た



 10歳ほどの少年が一人、ぽつんと一人、膝をついて俯いている。まるで、自分の視界に焼き付いていて、あたかも自分がその場所に存在しているような感覚がする。



 視界が少し曇っていて、少し頭がボーっとする。自分はなぜここにいるのだろう。


 しばらくした後に少年が何故俯いているのかが気になったのか、声をかけてみようと自然と視界が前に進んでいた。自分で歩いている感じがしない。足元で地面を踏んでいる感覚がしない。だが、視界が若干揺れながら少年に視界が近づいているせいか、前に進んでいる気がした。



「一人で何してるの?」



 自然と口が動き、自分なりの優しい口調で言葉を発していた。


 ――よく見ると少年は震えていた。



「………。」



 反応がない。ほっといてほしい、ということなのだろうか。



「なんでそんなに震えてるの?」



 しかし、ほっといておくという行為を、自分の良心が許さなかった。何かあったのなら、できる限り助けてあげたいとも思った。もう一度声をかけようと思った時だった。



「………じゃない。」



 少年が何かを呟いた。。同時に自分の二の腕を掴んで震えを止めようとしていた。



「ち…ちがう。違う違う。」



 今度ははっきり聞こえた。少年の震えは止まらず、息切れもし始めている。ただ事では無さそうだった。



「どうしたの!?」



「違う違う違う違う。」



 どんどん少年の声のボリュームが上がっていく。



「違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う


 違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う


 違うっ!!!」



 いったい何が違うのだと、少年の向いている方向に視界を向ける。



「違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う


 違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う


 違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う


 違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う


 違うっ!!!!!!」



 そこには―――



「違」



 音が消えた。視界も一瞬にしてブラックアウトして次の瞬間には少年の姿はなく、見覚えのある天井だけが見えた。

















「……また夢、か。」



 何度目なのだろう。そんなに毎日見ているわけではないが、変則的によく見る気がする。もしかしたら忘れているだけでほぼ毎日見ているかもだけど。


 ベットから起き上がり、少し伸びをする。外はまだ暗く電柱のライトだけが明るかった。、時間を知りたいにも電気をつけるのもめんどくさかったので電柱のライト頼りででスマホを探す。



「確か枕の下に…。あった。」



 本来枕が置いてあるところに枕はなかったがおいてあったであろう場所にスマホはあった。今思ったけどスマホは前方向にあるし後ろにあるはずのベットのフチも前に見える。



「寝相悪すぎだろおまえ



 スマホをつけ時間を確認する。時刻は5時18分、なんて中途半端な時間だ。



「あと1時間半だけ寝よ。」



 そう言ってスマホを切り、布団にもぐった。


 さすがにまた夢は見なかった(見たのかもだけど)再び起床した時には予定の1時間以上が経過していて、二度と二度寝はしないと心に誓った。


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