閑話Side 唯




私、聖沢唯は最低の女だと思う


松原橙李君のデートを新しい友達が急に誘ってきて断れなくてドタキャンし、更にはいるはずないと思っていた待ち合わせ場所にまだ待っていてくれた彼をバカにした。


その後も今いるグループの人達と沢山の人を見下し、悲した。

友達は前より増えたが、どれも広く浅くって感じで余り居心地も良くなかった。


今まで唯一の友達、桃谷香澄は高校で知り合った友達で多分これからも友達でいれると思うくらい深い仲になれていると思う。


最近そんなバカにしてしまった彼と色々あり前から惹かれていたのかなと思う。


そんな中、今日襲われそうになっている所をまた彼に助けられ更にもう一つの出来事のほうが悲しくて

今日会った事を友達の香澄に報告した。


『じゃあクラブでナンパされたのにアイツらビビッて逃げたんだね…てかあんた何でそんな所に…実際無理してるでしょ?』


「…よくわからない…でも無理してたんだと思う………凄い怖かった、助けてくれなかったし、…まぁ自業自得だけど…」


『…まぁそれは否定出来ないけど、…明後日からどうするの?一緒にいようか??』


「…うん…もうあのグループと遊ぶの怖い…」


『まぁいいよ、それにしても橙李は魔の悪い奴なのか、いい奴なのかわからないね、』


「…橙李君いなかったらって思ったら震えが止まらなくて…でも優しかったんだ、落ち着くまで隣にいてくれて、適度に話聞いてくれて、バイクで送ってくれて…」


『まぁアイツは聞き上手ってかそういう所、高校生っぽくないからね、でもシスコンだけど』


「ふふ…なにそれ…でね、もう1つあって…香澄怒らないで聞いて欲しい…」


『…うん…なに?』


「…香澄が前に橙李君の怪我の話してくれたじゃない??…あれうちの妹だったんだよね…」


『え!?』


「…その今日送って貰って妹とお母さんに会ったんだけど、妹が橙李君見た瞬間、あの時のお兄さんだ!!って騒ぎだして、でお母さんも確かにって…」


『…確かにあの近くだよね、唯の家』


「…うん…で、謝ろうとしたら、妹が元気ならそれでいいって、それより2人が知ったら責任感じるからって言われた」


『まぁカッコつけたがる奴だし、…橙李はさ、余り自分の幸せってのを考えない奴だから』


「どうゆう事??」


『んーアイツ妹がいるんだけど小学6年、妹が4年の時身内で色々不幸があってその影響で妹が笑わなくなったんだよね、


でもアイツは自分だって辛い筈なのに妹の為に私達や私達家族にまで頭を下げて笑顔で遊べる用にって色々な所連れてったり遊んだりしたんだ。



でウチのお父さんが橙李にお前は辛くないのかって聞いたらアイツ、妹や香澄、裕也が笑顔じゃないのはヤダ、俺はお兄ちゃんだからコレからはアイツらを守っていくんだって、


生意気なクソガキでしょ?

しかもそれまでアイツめっちゃ我儘だったんだよ!!マジで今と全然違うクソガキ!!裕也と2人で暴れまわってたんだから、


まぁそんなこんなで橙李の妹は2ヶ月くらいで笑う様になったしパワーアップして今では私達の女王様だからね。


でそれからかな、自分の事後回しににして、他人が不幸にならない様にするようになったの。

自分と同じ気持ちになって欲しくないんだと思うよ。


まぁだからアイツの事思うなら黙ってあげて、

それにアイツ本当にあの事気にしてないよ?

唯ちゃんに会えたのは怪我のお陰だっていってた』


「…そっか…本当に橙李君の事何も知らなかったな…なら今までどうりでいいだよね?」


『いいんじゃない?てか私達もアレは人命守った橙李が偉くて他の人悪くないよ。天ちゃん可愛いしね、ウチのヘタレ弟と交換してほいよ…』


「いや依澄君カッコいいよ!」


『いや…アイツは裕也と橙李の熱狂的な信者だからね、アイツらのダメな所を合わせた感じだよ。

ヘタレで鈍感で運動しか出来なくて、しかも好きな子が橙李の妹だからね…頑張れとしか言えん』


「そっか…なんかそれに香澄のポンコツも加わってたらと思うと…」


『ん??』


「初デート・メイド服」


『!!…なぜそれを…』


「橙李君が教えてくれたの」


『…アイツ覚えてろよ…』


「…ねぇ、デートドタキャンしてなかったら違ったのかな?」


『…それは唯が悪い…まぁ違っただろうね、アイツバイト先の人に頼んで服買いに行って、バイクでどこ回るか下見して私達にコレで楽しいか聞いてきてたから…私的には凄い魅力的なプランだったし、女としてあそこまでデートに準備をしてもらえたら嬉しいなと思った。』


「…やっぱそうだよね…最近ちゃんと話す用になって思う…私頑張ってたら違ったのかなって…でも恥ずかしかったから、あんなに好意持たれたの初めてで」


『…まぁ唯も橙李もヘタレだからねぇ、それに唯は頑張る方向性が違う!!そこはこれから直していけばいいよ』


「…ありがとう、ちなみにどんなデートだったの?」


『それは言えないなぁ〜、』


「…そっか、だよね、それを楽しみに行くのがデートだもんね…多分もうないよね?」


『橙李とのデート?』


「うん」


『ん〜橙李って意外と外見で判断しないってとこがあって、バスケあれだけ出来て彼女いなかったのも、バスケはモテる為にしてない、それ以外を見てほしいって言ってたし。


唯めっちゃかわいいし綺麗だけど、アイツ最初に顔の事じゃなくて性格の事言ってたからね

だから多分恋愛対象としては厳しいと思う。


あとアイツ彼女出来たしね』


「それってあの綺麗な人?」


『そうそう、あの人も性格で好きになったみたいだしね、なんか私達は橙李に支えられてるって感じだけど、あの人は橙李を優しく包み込むみたいな感じかな、誰かに頼る橙李、久々にみたもん』


「…そっか、言われた意味が凄いわかった。…私バカだな…失って初めて気づいた…」


『まぁコレは仕方がないよ…でも友達としてなら全然大丈夫だと思うよ?』


「…うん…まずはちゃんと向き合ってみる、今までの事もあるしちゃんとね…」


『まぁ実際、側からみてたらアンタらなんで付き合わないのって思ってたしね、唯気づいてないと思うけど橙李とRINEしてる時顔ニヤけてたからね』


「え!?」


『やっぱり気づいてなかったんだ…偶にお昼誘ったり4人で遊ぼって言ってたのも唯に気づいて欲しかったのもあるんだよ?

あれだけ携帯弄るフリして橙李との履歴見てニヤけてたら気づくよ誰でも』


「…うわーめっちゃ無自覚…ねぇ香澄明日遊びに行こ?ぱーと遊んで失恋した気持ちを忘れたい」


『はぁ唯実は甘えただからなぁ、だからアイツオススメしたのに…いいよ、裕也には巨乳に心惹かれた罰としてデートお預けするから、2人で楽しも』


と言い電話を終わらせた。


私はバカだ、自分の気持ちに気づけず、他人を傷つけて、失ってから初めて良さが分かる。

今ならあの人に言われた言葉がよくわかる。


だからこれからはもっと人との繋がりを大切にしよう、人の好意にちゃんと向き合おう、少しずつでいいから変わっていこう、


ありがとう橙李君、こんな私を好きになってくれて、そして色々気づかせてくれて。

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