夢よ 宇宙よ

 彼の夢は、宇宙へ飛び立つことであった。

 そのために、子供の頃から努力を重ねたが、他国との戦争や国内の不況のために、その夢がかなわないまま、空軍の将校として参加したクーデターで頭角を現し、最後には独裁者となった。


 独裁者として、好き勝手に過ごしている彼だったが、夜空をながめるたびに、宇宙を泳いでみたいという、子供の時からの夢が頭をよぎった。

 しだいに、その欲求は抑えがたいものになった。


 ある日、開発を進めている宇宙船に、彼が乗ることを告げると、側近たちはうろたえた。

 彼が宇宙にいる間に、国内ではクーデターが起き、外国は攻め入ってくるだろう。

 しかし、そのようなことは、もはや、彼にはどうでもよいことだった。

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