第7話 デート戦争・その後日記録
そんな中、彼はふと思い出したかのように例の単語を自衛隊に聞く。
「そういえば、
「……あぁ、そういえば君は知らないのか。ごのご時世でよく知らずに育ったな、そっちの方が驚きだよ」
「今の時代にだって、テレビもネットも新聞も取ってないで。生きてる人類だって、そりゃ居ますってばさ~」
「そうなのか?」
「そこまで極端では無いですけどね、全部知るのは無理ですって」
などと、島国の中の孤島(?)特有の知らないそぶりをみせる。今の世の中〈
「デート戦争・その後日記録……か、何て言えば良いのか……記録書にはこう書かれている」
「ごくり」
実十は唾を飲み込んだ。まるで、決定的な言葉を待っているかのようだった。
・とある長寿竜人族の、『デート戦争・その後日記録』。
ここに記すのは、浮遊戦空と凪ノ唄夜鈴の話である。
あるものは「あれは光そのものだった」と遥か昔に言った。だが今回の闘争は何だ? 光と闇がコントラストを描いて踊っているようだった。まるで2人で踊っているかのような、洗練された2人円舞と呼ぶに相応しい。。だから「アレはただのデートだった」と後世に伝えるために書き記しておこう。
この戦争で時系列が滅茶苦茶になった。今が西暦何年かさえ判らない。唯一の羅針盤である太陽の暦が壊れたのだ。そうと思ったら未来へ攻撃したり、過去へ防御したり。世界が加速したと思ったら減速、巻き戻ったり滅茶苦茶だ。パラレルワールドが何個も出来た。
世界のは終わりまで時間を加速したと思ったら、今度は始まりのビックバンまで時間を戻しての一撃・衝撃波。竜種でなければ、それこそ観測出来なかっただろう。力と力、技と技、速さと速さ。どれを取っても欠かす事の出来ない圧倒的な力。
そして、何だかんだあって。勝者は戦空に終わった。
そしてそれと同時に結婚してしまったのだ。この場合いいなずけと呼ぶ方が良いのか? 私にはわからない。兎に角、デート戦争のあとの2人は彼氏彼女を通り越して新婚さんのようだった。
これだけの騒動を起こして、2人とも幸せそうな笑顔で倒れて笑っている。これが笑わずにいられるか? 世界の命運を決める戦いで、遊んでいたんだ。彼ら彼女らは。
その後、世界は再構成される。崩壊しまくった時系列。そもそもここにはもう太陽も壊れて無いし、時計が意味を無くしてしまった。時計は即ち星の動きと連動している。だから使えないのだ。
磁場だけは、何とか生きていたが。それは居場所の特定だけだった。おっと、その後の話だったな。
そして世界は3つの運命の糸を束ねるように、3本で1本の世界線となって結合された。都合の良いものも不都合なものも。ごちゃ混ぜの歪な世界線。
『吸血鬼大戦』『デート戦争』『ヤエザキ事変』を結合した、マルチバース018の誕生だ。
そうすることでしか、時間を制御することが難しくなったのだ。だからこそ、あちらではあるのにこちらではない。という混沌期を迎えることとなる。
『ヤエザキ事変』の内容は2035年の未来だが、それすら改変される。今までの過去すら改変される。……それから2年後、西暦2020年7月14日12時00分現代へ舞台は移る。
人類や精霊達は、好都合と不都合の矛盾を持った生命体へと選択を迫られた。あるものは選ぶことが出来た、あるものは選べなかった。竜人族でもここまで記録して記憶しておくのでも精一杯だ。記憶が混乱する時間が、体感で長く続いた。
この世界はリセット出来ない、何もない真っ白な世界へは。もう行けなくなった。だからこそ、歴史を積み上げていくしかない。書物を書き、歴史を学び、そのために散って行った犠牲者にお祈りを捧げながら。今を生きるほかない。
誰であろうと、神であろうと。この世界は手探り状態だった。
時系列も滅茶苦茶になり、人の人格も滅茶苦茶になり、己の職業や信念すらも歪曲する。そんな不確だが、確かにある現実を歩いていくしかない。これだけ長く話して容量を得ないのはもっともだ、何せ戦争を間近でみた当事者の私でも今の現状がつかめない。
ただ一つ、後日記録として残せる一言は……。
『浮遊戦空と凪ノ唄夜鈴は結婚の約束を交わした』それだけだった。
「ま、つまりだ。結局何もかもわからくなったって話だ。この竜人族の歴史という名の記録にはさ」
「つまり、3つの事件で世界は滅茶苦茶になったってことですね」
「ま~、ざっくり言うとそうなんだよ。良い面でも悪い面でも。な」
そう言ってから、
◆~Q&A~◆
Q16、この世界の超能力は、1人1つなのですか? また、自衛隊は全員超能力者になれるのですか?
A16、地球界・精霊界、共に1人1つ所持できます。ゲームのスキルみたいに複数の能力所持は出来ません。【精霊側1名に対し、人間側1チーム上限5名まで】しか超能力の契約は出来ず。例えば、自衛隊全員が超能力者になる。などのことは出来ません。原則として超能力者は最大5対5名の戦闘を想定しています。基本は3対3名の戦闘を想定しています。
Q17、改めて。政治や外交や交渉でこじれにこじれて上手くいかなかった場合。その勝敗はどうやってつけるのですか?
A17、――さぁ、ゲームを始めよう。というわけで対戦ゲームで白黒つけます。精霊界的には本気の真面目な戦闘になると収集がつけられないので、本当にジャンケンゲームで決着つけます。地球界と精霊界では、今はまだ広がってませんが。今後はもうちょっと複雑化する『盤上の遊戯』に変わるかもしれませんね。将棋みたいな9×九面の遊戯。今は代役として『ポ〇モン』っぽいゲームで白黒つけてます。
Q18、集団における争いは、全権代理者をたてるものとする。と、他世界ではありますが。この世界での『全権代理者』の定義確認をお願いします。
A18、2つの世界で摂理のルールが違うので、地球界と精霊界を分けて話すと。地球界では集団または国などの代表者、1人以上5人以下までとする。精霊界は『名前を持つもの』の代表者、1人以上5人以下までとする。
Q19、定義確認、精霊界の名前を持つものとは?
A19、ゲームをする参加者に逆手にとられる可能性はありますが。あえて言うと【自身の身の名前を持つもの】。という意味です。例、「私の名前は田中だ」○、「私の名前はまだ無い」×、「私の名前はノーネームと呼ばれています」○。
Q20、もし、精霊界の「私の名前はまだ無い」人・精霊が全権代理者に選ばれたら。その精霊は代理人になれますか?
A20、なれません。名前を付けてもらってください。または名乗ってください。よほどの理由がない限り、全権代理者にはなれません。今回の問いでは、魂と肉体があるかないかは問わないものとします。それはまた別問題です。
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