第6話 精霊界、神門の草原。

 西暦2020年7月15日12時00分、江ノ島。

 第5小型異世界神門『北斗七星ほくとしちせい』は、煌びやかに。まだかまだかと来客を待っていた。


 異世界の最高神である雛夏は語る。

「んじゃ、とりあえず最初は1人で冒険に行ってもらおうか。私達2人が出ると、どうしても出しゃばるし。新鮮な異世界の風を感じてもらいたい」

「そういう事なら、わかった。1人で行ってみる」

「いってらー」

 そいうことで、実十はまず。1人で神門の向こう側へ、冒険に出かけることとなった。

 チリン! と鈴の音が鳴る。神門『北斗七星ほくとしちせい』の出入り制限の表示が。

 入9:出10、と表示され。異世界へ向かった実十だった。


 そんな実十を見送ってから、桃花ももか雛夏ひな実十みとの部屋にあるネットやらテレビを見ながら今後の作戦会議をする。

「さて、とりあえず日本と中国に布陣を置いてみたから。あとはどうする?」

「小型は1時間しかもたないから。実質、残り中型一ヵ所と大型一ヵ所の設置場所なんじゃよなぁ~」

「外交、日本人として観るのなら。もちろんアメリカに大型を置きたい所だけど……、日米両国が強力すぎる縮図になっちゃうんだよなあ~」

「かと言って、大型は1年間は動かせない。ここは慎重に選ぶか。大型だけ残しておくのがベターな選択だと思うんじゃよな。つまり保留」

「なるほど、中型2つを稼働させて。大型はもしもの時のためにあえて温存しておくと……いいんじゃない?」

「じゃあ中型にアメリカか……小型は?」

「こればっかりは解らないなあ~……いっそ国際会議の議題にでも乗っけてみるか?」

「1日出入り10人まで、誰が順番に異世界へ視察するのか各国で会議?」

「まあ、そんな感じ。小型1個は私が所持して遊ぶのは確定事項じゃが、もう一個の小型は正直好きにして良いんだよな~」

 と、雛夏はお茶を一杯口に含んでから。

「あとさ~、お前らからもらったエネルギー。EEの使い道をわしは考えてないわけよ……今貰ってるのは600EEじゃっけ?」

「あぁ~……、品定め。というか品薄なわけね」

「そうなんだよ~精霊界で何買おっかな~」

「あぁ、そう言えば自衛隊人達がね~……」

 などなどなどと、地球界でやることが多い話は尽きなかった……。



 異世界、……というか精霊界。

 実十は1人でこの門を抜けた、神門を抜けた先は桃花が明記していたように草原。その後ろに、小門、中門、大門と。神門が威風堂々と立ち並んでいる。

「おお、ここが精霊界か」


 【精霊界、神門の草原。】難易度D。

 空は青く、地は見渡す限りの大草原。自身の周りには9つの神門。

 そして、現在可動している神門は3つあり。それだけでも結構賑わっている。これが9つ全部可動し始めたら、どうなるのだろうか? ……結構忙しそうだ。


 第1大型異世界神門『ダンデライオン』には500名の日本の自衛隊が国旗を掲げて、これ見よがしに誇示し。

 第3中型異世界神門『義和ぎわ』には50名の中国の軍隊が国旗を掲げて、これ見よがしに誇示している。

 第5小型異世界神門『北斗七星ほくとしちせい』に、対するは。江ノ島から来た少年が1人……。


「あれ? 俺、場違いな所に来てね?」

 とも思うほどに、緊張感が伝わってくる。

豊穣実十ほうじょうみと君ですね? 特地資源状況調査担当とくちしげんじょうきょうちょうさたんとう田中万丈たなかばんじょうです。上から許可はもらってます」

「あぁ、自衛隊の方ですね」

 見るからに兵隊、見るからに自衛隊の日本人だった。でも何故か1人しか駆け寄ってこなかった。

「これから君の護衛に入ることになりました、と言っても。上と話したものの。私1人だけしか護衛はつけられないという事で。なんとも……」

「あ~。上の人も下の人も大変なんですね」

「というわけで、まずはコレを」


《豊穣実十は、軍用ナイフを手に入れた!》


 ピコン、とステータス画面が更新される。

「おお! 武器だ!」

 そこにいる『カメスライム』と『ブタウサギ』に対しては、このナイフ3回分の攻撃で経験値が手に入ります。機関銃だと速攻で終わるので、掃討には手間取りませんでしたが。何とも味気なくて。

「あ~……なんか強さがおかしいことはわかりました」

「そちらの門は1時間でしたね、早速タイマーをセットしますので少々お待ちを」

「あ、はい」

 ということで自衛隊、田中万丈はタイマーをセットし直した。

「そいうことで、15分前までに【第5神門】『北斗七星ほくとしちせい』へ戻って来れる程度には、モンスターを狩れるので。それまで自由時間です。あ、私の射程範囲から離れないで下さいね」

「なんか接待プレイをされてる冒険のようだ……」

「はっはっは! 現代戦というのはそういうものですよ。さ、時は有限。狩って行きましょう」

 そういうことで、日本国の自衛隊1名付きでの冒険となった。

 なんとも和むというか、和い。というか……。ワクワク感が半減なのであるこれが。


◆~Q&A~◆


 Q14、各国はこの神門のことをどう思っているのでしょうか?

 A14、過去に未確認生物やらで最高神・雛夏は地球界にああだこうだと難癖をつけて来ました。なので、その難易度を知っているわけで各国自衛隊の方々は気を引き締めて挑んでいるようです。何が起こるかわからない、未知のフロンティアなわけです。何の脈絡もなく、突然津波が来ても万全を期すぐらいには用心してます。


 Q15、地球界のG7の反応を一言教えてください。

 Q15、フランス「中国か!?」。アメリカ合衆国「中国か!?」。イギリス「中国か!?」。ドイツ「中国か!?」。日本「何でこんなことに!?」。イタリア「中国か!?」。カナダ「中国か!?」。まあ最初の布陣がハッキリ決まらない基盤上ではそんなもんでしょう、精霊界の勢力図も完全に不明ですしね。

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