第1章 第1大型異世界の門『ダンデライオン』

第1話 始まりはいつも突然に。

 西暦2020年7月14日12時00分、現実世界に『異世界の門』が東京駅に突然出現した。

 ついでに、ゲーム的なステータス画面・スキル操作も出て来るようになっていた。

 これは幻想ではない、現実だ。

 あとついでに、俺の家に精霊女王・最高神が転がり込んできた。



 日本国、神奈川県、江ノ島。主人公、豊穣実十ほうじょうみと、と湘南桃花しょうなんももか、高校1年生は絶句した。

「例えば、VRゲームの英雄さんには『ステイクール、このお寝坊さんめ』って私は言うし。幼女な戦記ちゃんに私は『ご苦労、皆勤賞を送ろう』という」

「……なんだ? この幼女は」

「例えば、マーベルシネマティックなユニバースには『ニャリウッドの財力凄いね~』と言うし。週刊少年ジャックには『お前ずっとついて来てたんかい!?』という」

「えっとー……お嬢ちゃん、お名前は?」

 ウイーン!! ウイーン!!

 と、途端に日本人である彼のスマホから。民間人に緊急用に入る〈Jアラート〉が鳴った。


《東京駅に謎の『異世界の門』が出現、未確認危険生物が民間人を殺害。通称『ドラゴン』は『空飛ぶ戦車』ほどの戦力を1000体ほど飛翔しており、東京駅周辺には莫大な被害が発生する模様……》


「じゃからわしは今から『ようこそ』とか『久しぶり』とか言いたい所じゃが。生憎私の世界観は広すぎて語彙力が失われてしまった。やる気が失せたという意味じゃ」


 なんだ、……この幼女は……。


「故に、私は正直にありのままを受け入れて。そのままに話そう。私は精霊王・悪の魔王・ネットでは悪役令嬢・この世界の創造神・最高神! おっと名前じゃったな」


 なんだ、……この幼女は……!


「私の今の名前はマルチバース018【雛夏ひな】じゃ! 他にもマルチバース017ではミュウ、019では星明幸ほしあかりさち、020では天上院姫てんじょういんひめとか色々あってー(うんたらかんたら。ま、つまるところアレじゃ」


 なんだ、……この幼女は……!?


「ようこそ、私の世界へ」


 そのあと、雛夏は紙切れを1枚渡して。こう切り返してきた。

「精霊との契約書、興味があれば名前書いてね。んじゃ、わしは他にも最高神をタダで押し売り営業してるよ。気が向いたら書けよ~」

 なんなんだ! ……この幼女は……!?

 謎の最高神幼女はどこかへ去って行った。

 ウイーン!! ウイーン!!

 と、途端に日本人である彼のスマホから。民間人に緊急用に入る〈Jアラート〉が鳴った。


《緊急事態宣言発令、市民の方々は避難して下さい。これは災害レベル4であり……》


 彼に対して、いや。世界に対して〈なにか〉が攻めて来た。それだけはわかった。

 幼馴染の湘南桃花しょうなんももか、高校1年生は、首を傾げながらその幼女の方を見送った。そして、実十みとに話しかける。

「契約、結んでみたら? なんか怪しい超能力とか手に入るかもだし」

 と、冗談半分で言ってみた。

「あ、その前に。さっきの子と、もうちょっとお話してからでいいかもね。この日本人? いや、世界中に表示されるようになった〈ステータス〉や〈スキル〉? についても私話してみたいし」

「お、おうわかった桃花。じゃあまずさっきの子を呼び戻してうちの部屋で話を聞かせてもらおう」

 そういうことで、実十みと桃花ももか雛夏ひなは。豊穣実十ほうじょうみと家へ行くことになった。



 西暦2020年7月14日13時00分、江ノ島。豊穣ほうじょう家、実十みとの部屋。

 

「さて、何から話せばいいのじゃ?」

 雛夏はもらったお茶とお茶菓子に舌鼓を打ちつつ。あぐらをかいてリラックスしている。

「じゃあ私から発言いい?」

 言って、桃花が発現したさそうに実十に言う。

「どうぞどうぞ、俺は現状混乱してるだけだからね。言いたいことがあるならお先にどうぞ」

 桃花は一呼吸置いてから、状況を整理するために発する。

「【今まで忘れてたけど……。】私は確か、年齢30代の大学卒業後の歴史教師になってたはずだけど……、何? 時空でも歪めたの?」

「え、桃花ちゃんは俺と幼い頃からずっと一緒にいる幼馴染じゃ?」

「実十は黙ってて!」

「あ、はい」

 どうやら実十は蚊帳の外らしい。桃花は話を元に戻す。

「私が今まで居た世界はマルチバース018なの? それとも他のマルチバースなの?」

「最初っから、突っ込んだ質問するなぁ~。まあいい。マルチバースはココとは別の世界のちょっと違う世界というのは解るな?」

「うん」

「ごめん、俺にはさっぱり……」

 実十を無視して雛夏は言う。

「正確にはマルチバース018の中の並行世界じゃな、ほんのちょっと設定が違うレベルならマルチバース018から動かすのも無粋だろう。世界線で言えば。世界線変動率1.18%ずれた世界、って所じゃな。マルチバースが変動するには2%や8%とかにならないと変動しない0.1%程度なら変更する必要もないじゃろう」

「ふむ、それも神様の手のひら内ってことか……」

「わしのことはいいじゃろ? つまり桃花は、正真正銘ピッチピチの16歳高校1年生じゃ。肉体寿命的にも精神寿命的にも、な」

「でも、吸血鬼大戦やデート戦争やヤエザキ事変の記憶は私覚えてるわよ? そこはどう説明するの?」

「【思い出した】程度じゃろ? そんなのデジャブみたいなもんじゃ、いちいちデジャブ魂寿命の事なんか考えたこともないじゃろ? つまり、時間の概念は無いも同じじゃ」

「デジャブか……、じゃあ少なくとも。この世界じゃ普通の高校生なわけね……。あ、私の質問は終わったから。実十君、質問いいよ。ごめんね、電波系な質問しちゃって……」


 桃花は実十に謝罪してから、実十は雛夏の事で聞く。実十は「いいよ別に」と、念を押してから。彼は彼の本題に入る。

「あの『異世界の門』はキミが出したのか? 今、東京駅がパニックになってるアレ……」

「そうじゃ『第1異世界の門』はワシが作った、ま、ここは神奈川県だから場所的にちと遠いがな」

「第1ってことは、第2第3の門もあり得るのか?」

「いかにも。あと二つはハワイかアメリカかギリシャが良いな~とか思っとるが……とりあえず保留じゃ」

 一拍置いて。

「じゃあこのステータス画面は何? 君はゲームをやりたいの? それとも戦争をやりたいの?」

「今回はゲームシステムが組み込まれてる戦争じゃな! つまり戦記がやりたい!」

 今回って、まるで前回も前々回も何かやらかしてるって感じだな……、実十は思った。

 と、話し終わったところで。お茶が無くなった。

「お代わりいるかい?」

「うん」

「なのじゃ!」

 そう言って、実十はお茶を注ぎに部屋から出て。ドアを閉めた。



 ☆エレメンタルワールドの契約書。

  ゲーム機『テンジョウ』、ゲームソフト『エレメンタルワールド』のルール。


 1、『エレメンタル』の能力を使うためには『精霊』と契約しなければならず、『チーム』に入らなければならない。

 2、 能力はそのチーム内で設定された『精霊利子』がチーム全員に適用され、能力発動後。先払いでエネルギーを回収する。

 3、『基礎エネルギー(E)』は人間のカロリーを目安としているので。1600~5000Eを超えることは無い。それを超えると人外扱いになる。

 4、『出力効率』は-95%~+95%まででそれ以上高低せず。±100%はエレメンタルワールドではただ1人だけ存在できる。

 5、『課金』は1E=500円に設定されているが。変動することが有り得る、改めて設定を決める場合は神道社の会議で決める。


◆~Q&A~◆


 Q1、この世界の、この作品のマルチバース(多元宇宙)は具体的にどうなってるんですか?

 A1、マーベル映画とシュタインズ;ゲートの世界観の【となり】にある世界観だと思ってください。具体的には【複数の泡によるもの】の中に、『運命の糸』があり。【世界線】を形成しています。もっと具体的に言うと。マーベル映画では位置的に、【マルチバース018】に位置し。ダイバージェンスメーター(世界線変動率計測器)では。『吸血鬼大戦』を0~1%、『デート戦争』を1~2%、『ヤエザキ事変』を2~3%。これら全てのルートを通っている状態での新たな世界線なので。細かく言うと、【世界線変動率3.018???%】に位置します。座標はそんな感じです。

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