長寿化によって生じる事柄

 長寿化、すなわち寿命が伸びることによる少子化への影響を考えてみる。実際には長寿化には細かく見れば様々な作用があり、少子化に対してもプラス・マイナスそれぞれの要素があると思われる。しかしながら、ここでは最も大きな枠組みで考えて、単に寿命が伸びるということから導かれる帰結について述べるに留め、長寿化した生活やその他の文化的な事柄については述べない。

 人間とその社会は、人口が増大しその社会が広がる段階とある程度広がりきった段階がある。地球は有限であるから人が生活できる時空間は有限である。これを踏まえて長寿化について考えてみる。ある人間一人が必要とする資源、ここには食べ物などの物資や生活するために必要な空間などが含まれるが、この資源について、一人の人間が一年間に必要とする資源を r1 とし、寿命を a 、その人間が生涯必要とする資源 rl とすると、これらは次のように表される。


 rl = r1 × a


 地球とその周囲の宇宙が一年ごとに一定量の資源を人間に与えるとすれば、この総資源量をrsとする。この時、人間は総資源量を超えることはできず、この時、ある個体の寿命が60歳から90歳伸びた時、一つの個体が時空間に占める割合はそれぞれ 60 : 90 =2:3となり、一つの個体が時空間に占める割合は1.5倍となる。

 もし時空間に占める量が一定ならば、個体の寿命が60歳から90歳に伸びた時、必要な人口総量は概算で3分の2となる。すなわち、長寿化するほど人数は少なくてよくなるということだ。労働者不足といいながらも、昔であればいなかったほどの高齢者が様々なところで働き、生活している訳であるから、一定の労働需要に対して、長寿化した社会はより少ない子供の数で賄えるという現実は踏まえておく必要がありそうだ。

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