第145話 目的不明
「本日…東京駅で発生した複数の事件について…犯行グループが声明を発表しました。犯行グループは自身を…SURFER FROM SUFFERINGと名乗っていると、先程警視庁より連絡が入りました…」
-2022年9月15日 日本 東京都 千代田区 首相官邸-
「その犯行グループの特定は!?目星はついているのでしょうか!?」
「外国籍の犯人グループと聞いておりますが、今後の対処は!?」
「英国でも同様の事態が発生しておりますがどう見られるのでしょうか!?」
「米英にも繋がりがあるとのことですが!?」
「犯行グループからの要求は!?今後テロが起きないとは限らないのではないでしょうか!?」
「総理!」
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大須裕太は目の前にある映像を見て心の中で驚く。
ロンドンにてテロ発生か。死者数不明。
見出しにそう書かれたニュース映像を眺めながら、すぐに例のサイトを開く。
(ただ事じゃない。計画的な犯行だ。こんなに同時多発的にテロを起こすには何か連絡手段がいるはずだ。だとしたらあのサイト以外…)
だが現地で作戦会議というどうしようもない事も考えはつく。今まで起きた全ての出来事がこの謎の横文字組織が起こした前提でもあるわけで。
サイトが更新されているのか下に次々スクロールしていく。
「…あ、え?」
思わず素っ頓狂な声を出してしまう。先程見たアメリカ3つの州、そしてイギリスの1つの都市、そこには新たな文が追加されてあった。
日本 東京都
イギリス ロンドン
(どういうことだ…やはりこれがテロの合図の文か…いや違う、この文字は確か俺が霞ヶ関でのニュースを見た時には存在しなかった。つまりあのテロが発生してから書かれたことに…となると一体…もしくは合図なんかないかだが)
様々な考えを頭に巡らせるがどうもしっくりこない。左上の端っこに小さくある画面の更新ボタンをクリックしてみる。
「…え?」
そこには再び文字が追加されていた。その2つは中々聞いたことのない名称だ。
アメリカ合衆国 アーカンソー州 ルイジアナ州 テネシー州
「アメリカ…増えてる…?」
さらに更新ボタンをクリックする。するとまた明らかに文章が増えている。
アメリカ合衆国 ケンタッキー州 ミシシッピ州 ミシガン州
(どういうことだ…?)
計6つの州が一気に更新されている。これらの州では何も起きていないはずだ。今の所は…
(ニューヨーク州やカリフォルニア州がないのが気になる。大規模な都市がある州が書かれそうなもんだが。何故だ…)
以降、更新しても文章はしばらく増えなかった。丁度その辺りでスマホのバイブ音が鳴ったわけだが。
横に置いてあるスマホを開き、確認する。どうやらまた緊急ニュースのようだ。
「…え」
そこにはこう書かれていた。
米国、銃乱射事件発生か。英国との関連性不明。世界的な同時多発テロの示唆。
(アメリカ…銃乱射事件。どこ…だ?)
このタイミングでのこのニュース。勘でこそあるもののそれが脳内を揺さぶっていく。
あの文章はいわば完了したという印の文なのではないなのだろうか。つまり…事件を起こした、死人を出したという一種の合図。それをきっかけに再び事件を起こしていく。
アメリカでの銃乱射事件、おそらく先程増えた6つの州で起きたのだろう。
だがまだ分からないことがある。奴らの目的だ。アメリカ、イギリス、日本では全然違う。政治的な思想も変わってくる。
国家転覆にしては規模が大きすぎる。ましてやイギリスや日本はまだしもアメリカは…
(何がしたい…こいつらは一体何がしたい…?)
目の前にある無機質な字を見ながら考える。結論は出なかったが。
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