第142話 協力者
「…これからどうするの?」
「え?ん〜。あいつが言ってたサイトに入るか」
「大丈夫か?今いろいろと大変だぞ。あんな大惨事の後だってのに」
「米軍にドラゴンやらと追われた俺達が拳銃の扱いも知らないようなチンピラと会うことに比べたらまだマシだよ」
「あの爆発の事言ってんだけど」
「あぁ、大変だったね。でも見た限り緊急通報サービスの人達は揃ってたから。それにいつもあそこで伸びてて警察に捕まるかもだし」
ヒカルはそう言うと自身のズボンのポケットを探り出す。
「どうやって?そもそも個人情報渡すのか?」
「個人情報の全てか…曖昧なんだよな。どこまで言うのかが。全てだとしたらあいつ相当馬鹿だよ」
「…そりゃあそうだろうな」
自分の事をそう簡単に明かしてはいけないのは地球生まれではない俺でも分かる。
「助っ人呼ぶか」
そう言うとヒカルはスマホを取り出した。
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大須裕太はその日、パソコンを弄っていた。30万円分のゲーミングパソコン。2018年製のこれは当時最新とまで言われていたが今はそう言われる日はなくなってきている。
「そろそろ新しいのに変えるか、なんかいいのないかな…?」
Amazonを開くが、めぼしい物は特になく、別の通販サイトへと向かおうとした時、スマホが鳴る。
「…?」
無言でスマホを取る。そこに写った誰かを見て、すぐにスマホをその場に置き、放置する。
一旦は鳴り止んだものの、すぐにまた別の着信音が鳴り出す。バイブ音とその着信音が集中力を奪っていく。
「…………」
「ねぇ、電話鳴ってるよ。取らないでいいの?」
「…あぁ、あいつからだからな」
「ヒカル?」
「そう」
ユウタはゆっくりと受け答える。隣にやって来た憂井崎葵は椅子越しに興味しんしんにこちらを覗く。
「ねぇ、さっきから何やってるの?」
「買い物」
「そうなんだ。ねぇよかったらさこのさかわいいゆいぐるみ買っていいかな?」
アオイは照れくさそうにそのぬいぐるみの画像を見せてくる。
「いいよ。俺が買う。というか俺しか金持ってないし」
「え?ほんと。やったー!ありがと!」
アオイは笑いながらそう喜ぶが素直に嬉しくなれなかった。何故なら…その原因は…
「あぁ!もううるさい!なんなんだよ一体!」
俺は遂に電話にでるとそう叫ぶ。
『わりぃわりぃ。LINEじゃでないからさ』
「わざとでなかったって気づかないのか?」
『どうしても頼みたい用があって』
「それを言われたのは3回目だ。一体どれだけ…」
『また異世界絡み』
「……だろうな」
『もう大分驚かなくなったね。初めて教えた時は絶対信じないと思ったけど』
「目の前で米軍とドンパチやってたからな。信じたくなくても信じる」
『F-22と正面からやり合ったからな。あれはきつかった。なにせ最強のステルス戦闘機相手にしてたから』
「それで顔もバレた挙げ句香港であの騒ぎか?おまけにデンマークの軍事基地の場所を教えてくれだなんて…衛星画像を何回…」
『ハハッ、お疲れ様。じゃあ次のお願いはThe end of the world by Armageddonって言うサイトに入って』
「アルマゲドンによる世界終焉?」
『そう。1999年のノストラダムスの大予言みたいだね。でもあれ日本だけらしいよ騒いだの』
「そうか。じゃあな」
『あ、受けてくれる?』
「やだ」
『えぇ〜、頼む〜。金は払う〜。アオイちゃんに幸せになってほしいから〜』
「…払えよ?払わなかったら…」
『どうぞお好きに。俺から奪う物なんかないけど』
「CIAに居場所バラしてやるよ。顔は大分割れてるからな」
『既に顔では判別できなくなってるから大丈夫』
「……娼婦の息子が……」
俺はそう言うと電話を切る。程なくしてそのサイトを見つけることに専念することになった。
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