第53話 ヨーロッパ脱出(2)
2022年7月14日 中央ヨーロッパ標準時
午後12時48分
北海上空
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「おとなしく魔王様のもとへ行けばよかったものを」
「うるさいわね…っ!」
エルダーゼとリヴリーは凄まじい速度で移動しながら話している。空気圧は何故か彼らの邪魔をしない、エルターゼがリヴリーの肩を掴むようにして飛行している。
「まったくなんたる様だ…誰にやられたのだ?」
「いけ好かない奴…地味で魔力もなくて臆病者っぽそうな弱い男、一生彼女できなそうな」
「なんだ?そんな奴にやられるほどの強さだったか?」
「そんな訳ないじゃない!あぁ、もう腕が痛くて仕方がない!」
「はいはい落ち着け、どうせまた生えてくるんだから。もうこのまま魔王様のもとへ行くぞ」
「ちょっと待ちなさいよ。一発人間共に何かしないと私の腹の虫が治まらないわよ」
「知るかよ。貴様が言い出したことだろ?…と言いたいところだが人間を殺すってのは俺だって嫌いじゃないからな…よし、いいだろ」
そう言うとエルターゼは速度を上げるが、丁度その時北海で演習を行っていたイギリス海軍の45型駆逐艦の対空レーダーに入ってしまい、艦内で騒ぎが起きていることを彼らは知らない。
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2022年7月14日 中央ヨーロッパ標準時
午後1時22分
ドイツ バイエルン州 ニュルンベルク国際空港
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#Monster
#化け物
#Alien
#エイリアン
「これがTwitterのトレンド。全部ニューヨークとドイツ関係のやつしかない」
「もうそんなに広がってんのか?あとスマホ割れてないんだね」
「バッグを右に下げてたら多分割れてたな。腕しか蹴られなかったからな」
俺達はあのあと電車やバスを乗り継いで空港にまで来ている。俺は何回空港に行けばいいのだろうか。
「あたし飛行機って知らないんだけど…なんだよそれ?」
「簡単に言えば空飛ぶ鉄の塊。俺達はそれに乗る」
「?????」
俺が説明したがキルアはどうやら理解できないようだ。
何はともあれ飛行機が出発するまでの時間を待つことにする。暇なので空港内に設置されているテレビを椅子に座りながら見ていた。
『こちらは事件現場のドイツのヴュルツブルクです。現場からは謎の生物の死骸があちこちで確認できます。発生地点とされている通りには警察による封鎖がされており、中に入ることはできません。一体この生物は何なのでしょうか?ニューヨークと続いて発生したこの事件の詳細を…』
ここまで言った時テレビの中継映像が途切れ、スタジオが映る。アナウンサーらしき男がテーブルに置いてある原稿を手にとって読む。
『速報です!速報!えぇ、ただいま世界標準時の午後12時12分。イギリス、スコットランドの都市アバディーンにて大規模な爆発事故が発生しました。繰り返します。世界標準時の午後12時12分にイギリス、スコットランドの都市アバディーンにて大規模な爆発事故が発生…なんだって?』
ここでアナウンサーの声が一旦途切れる。アナウンサーの困惑した顔がテレビに映り、俺以外の見ている人達も困惑しだす。隣を見るとアナリスやカノンが立ちながらテレビを見ており、キルアも椅子にもたれかかるようにしてテレビを見ている。
アナウンサーが顔をテレビ画面の正面に向け話だす。
『し、信じられません。落ち着いて聞いてください。アバディーンで発生した爆発は謎の生物による事件だと現地警察の確認がとれました。繰り返します。アバディーンで発生した爆発は謎の生物による事件だと現地警察の確認がとれました。現在までに…どのくらいの被害だ?……甚大な被害が…現地の映像はないのか分かった。いいですか!今我々はとんでもない瞬間に立ち会っているのです。ニューヨークの悲劇がアバディーンで起きようとしています。アバディーン周辺の皆様は迅速な避難を!避難を!』
その時テレビの映像が途切れる。バグのようなカラフルな映像が映し出される。これにより周囲の人物はパニックへと陥る。
「これって…」
謎の生物…生き物の事件…つまり
「あいつか…」
アナリスは呟くようにそう言った。
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