第37話 ヨーロッパ
飛行機を待つ間特に何かをすることなく、飛行機に乗ったからと言って何もアクシデントは起きなかったので早送り。
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2022年7月13日 中央ヨーロッパ標準時
午後2時12分
フランス ストラスブール付近上空
ボーイング973便内
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「あと30分くらいか?」
「そ…だな」
隣に座っているそう答えたヒカルはなんだか全体的にテンションが低い。というか気分悪そう。
「お前大丈夫か?」
「…ん。時差ボケと長過ぎる待ち時間、そして10時間のフライトのせいだ。長時間立った後は長時間座る、落差が激しすぎる」
要は相当きついということだろう。だが不思議と俺はそこまできつくない。カノンも同じようでけろんとしている。
だがアナリスは…
「はぁ~~~(ため息)酔う~、耳がキーンってなる~」
こっちもこっちでダウンしている。こんなんで魔王の幹部とか現れたら無理では。
だがまぁニューヨークに現れた幹部の影響力は絶大だった。何故なら飛行機内にあるニュースでは、引っ切り無しにニューヨークの件がとりあげられていたから。それに飛行機の座席も満席の部分が多く、1列4席の場所が1ヶ所しか空いていないほどに。
ニュースを見て聞いた限り、世界的にやばいことになっているらしい。何故ニューヨークだけで世界がやばくなるのは俺は知らないが。
ニュースによるとニューヨークの株式市場が著しく低下し、それにより東京とイギリスの株式市場にも影響が懸念されるらしい。
ニュースキャスターはこれを第二次世界恐慌とか言っていたし、モノカルチャー経済のアフリカ、南米諸国に大打撃を与える危険性を訴えていた。
ニューヨーク市の経済は、半分以下にまで下降しそうとも言っていた。
さらに中国海軍が、台湾海峡の方へ進出しており
イランの核兵器搭載の原子力潜水艦に動きが見られ
ナゴルノ・カラバフ戦争が再び勃発危機にまで陥り
クルドとトルコの国境線にてトルコ軍に動きが見られ
韓国と北朝鮮の間では、これまで以上に緊迫した状態へと変わっていた。
さらに中東諸国の石油の価格の変動が起きることも予想されて、物流が著しく低下し、貿易にも支障が出そうとも。
そんなニュースを俺は半分以下しか理解できなかった。
俺は特にすることもないので、ヒカルに貸してもらったスマホで何かしようかと考えたが、使い方もどんなアプリがあるのかも知らないのでなんというか楽しくない。
「あ!!!!!」
突然アナリスが叫びながら立つ。その声は飛行機内にいる他の人達の注目も集める。
アナリスは恥しそうにゆっくりと座りながら、俺達に言う。
「いる。私の魔力探知が発動した」
「てことは?」
半径100km以内に俺達と同じ世界から来た人がいるということだ。
「フランスのストラスブールで今は東に進行中。もうすぐドイツとの国境線か。つまりドイツ国内ということは間違いないな?」
「多分それで合ってる。ここから大体100km離れてる地点にいる」
「となるとドイツの南西部か。シュツットガルトあたりか。正確な方位は分かるか?」
「それは分からない。大体近づけば分かると思うけど」
「ミュンヘンで行き先と被るからもうすぐしたら…」
「あ!近くなってる。多分そこで合ってる」
以上はアナリスとヒカルによる会話である。俺とカノンはボッーと見ていただけである。
「えっと?それで俺達はどこへ向かうんだ?幹部とかじゃないよな?」
「大丈夫だよガイム。魔力の流れ的には人間だね。これからシュツットガルトに向かうの」
「そこってミュンヘンって場所より手前か?だったらそこに着く前に飛行機から降りようぜ」
「ミュンヘンまで着陸しないのにどうやって降りるんだよ」
「?」
アナリスは訝しげな顔をしているが、
俺何か言っちゃいました?
「飛行機って着陸、止まる場所が決まってるの。ニューヨークでそうだったじゃん」
「あー、じゃあ降りれないのか」
ヒカルがかわりに説明してくれて助かった。
どうもこの世界はなんというか難しい。
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