第3話 冒頭のシーンにつながる
月日が流れて、乙女ゲーム本編の開始。華麗なる学園生活が始まりを告げる!
その時期出会ったもう一人の転生者、攻略対象のナンパ少年と(友人として)仲良くなった私は、悪役令嬢イベントをことごとくつぶしてまわっていた。
ヒロインを虐めたりしないように、ヒロインの恋を邪魔したりしないように、それはもう隅から隅まで気を使った。
ヒロインの方は、順調に先輩キャラとの仲を進展させていた。
恋っていいよね。
時々手を握ったり、抱きしめたり、抱きしめられたりしているのを見た。
だから私の視線の先には、(見かけ上は)青春を謳歌する少年少女の光景しかなかった。
けれど、問題なのが学校の地下に封じられたラスボス。
隠し攻略対象である、邪神の存在だ。
ゲームの邪神は、心が弱っている学園の生徒に語りかけて、自分の封印を解こうとしていた。
乙女ゲームでその役は悪役令嬢がこなしていたが、今の私にその声は聞こえない。
だから、他の生徒がやってしまわないかひやひやしていたのだ。
もしかしたら改変によって、イベントが起きなくなってしまったのでは、それならラッキーと思いかけた頃に、まさかのポメラニアン登場だ。
過去私達が育てていた子犬(ポメラニアン)が川から生還!
生き延びたけれど、心が弱っていたポメラニアンに付け込んだ邪神が、あれこれ語りかけて、封印を解除させた。(動物と話せる便利攻略対象が、教えてくれた)
で、自由に行動するために、邪神がそのポメラニアンの体をのっとったというのが、冒頭のシーンまでの流れだった。
「キャン、キャン、キャン! グルルルルゥ!」
邪神と化した子犬は巨大化。
狂暴になっていて暴れまわる。
襲われた生徒達は大パニックだ。
登場人物補正で、運動神経がずば抜けている私達、悪役令嬢やヒロイン、攻略対象者くらいしか太刀打ちできなかった。
え? 意外と多い。
乙女ゲームのストーリーなんだから、そんなもんよ。
でも、さすが登場人物。
息の合った連携をみせながら、苦労して弱点を見つけて、気絶させ、ヒロインが主人公パワーで邪神の孤独な心を癒して事なきを得た。
これで、一件落着ね!
ん? 何か忘れてるような。
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