少女と夏

さくら ゆい

いつもの神社で(雪華編)

私の名前は鈴木雪華すずきゆきか


夏夜中学校なつよちゅうがっこうの中学一年生だ


自分は話す事が苦手で入学から四カ月も経った今でも誰一人も友達が居なかった。


だから友達とどこか遠くに出掛けたことも無いし、友達と公園で遊ぶ事ですら羨ましかった。


遊ぶと言えば姉の友人と妹とである。


姉と妹は社交性のある人間で友達も何人もいる。


でも自分は仲良くなれなくていつもぎこちない思いをしている。


逃げては行けないとは思うんだけど、でも誰を頼ればいいのか分からない。


担任の先生に聞きたいけど迷惑なんてかけられないし、家族にも迷惑はかけられない。


だから未だに解決策は見つからなかった。


でもそんな私には楽しみがあった。


皆には笑われてしまうかもしれないけど、夏夜神社の石段に座って本を読むこと何だ。


いつも居るからか、神社の神主さんは「お菓子あげるよ」と言ってお菓子を置いていってくれる。


でもそんなある日の事だった。いつもとは違う流れになった。


私はいつもの様に本を持って夏夜神社に行った。


階段を昇って、鳥居をくぐり抜ける。


御賽銭箱に続く石段に座ろうと思ったが、私と同じくらいの年齢の女の子が既に座っていた。


私は1人で居た方が本を読むのに集中できるし人と話せないから、帰ろうと思ったその時。


?「せっかく来たのに帰っちゃうの?」


その女の子が声を掛けてきた。


雪華「私1人の方が好きだし、人と話す事が苦手だから…」


私は口を開いて一生懸命言った。


でも嘘をついた。


?「1人が好きだなんて嘘でしょ?」


雪華「え?何で?」


?「本当は友達が欲しいんでしょ?」


何故だろう。嘘をついたのにすぐに見破られた。不思議だ。


雪華「そんなわけないじゃん」


私はまた嘘を重ねる


?「ほーら。また嘘ついたでしょ?ホントの事ちゃんと言ってよ」


また見破られる。


雪華「…私だって友達が欲しいよ」


?「やっと本当のこと言ってくれた。あなた名前は?」


雪華「…雪華」


?「雪華って言うんだね。」


雪華「名前は?」


?「あおいだよ」


雪華「よろしくね葵ちゃん」


そしてこんなひょんな事から葵と一緒に遊ぶことになった。

友達ができたみたいで嬉しかった。


葵「雪華って何歳なの?」



雪華「私は13歳だよ。葵は?」



葵「雪華と同い年だよ」



雪華「へえ〜」



そして色々な会話をしている内に彼女と仲良くなった。


鬼ごっこや隠れんぼ、縄跳びをして遊んだ。


そうして5時半のチャイムが鳴った。


雪華「葵、私帰るね」



葵「じゃあね!」



まあきっともう今日で遊べなくなるんだろうなと思いながらも自転車を漕いで家に帰る。


今日は中々いい体験をしたと思った。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る