音楽は僕らを見放した

山田優作

第1話音楽は僕を見放した

音楽は僕を見放した1話



音楽の天才 作詞の天才

そう言われたのはいつごろだろうか

そう遠くなかったはずだ

だが今は、呼ばれていない

今はこう呼ばれている

落ちた天才 書けなくなった天才

そう、今は蔑まれている

なぜそうなったのか

答えは簡単だ

音楽が僕を見放したからだ


僕は山田優作(やまだ ゆうさく)

高校1年生になる、至って普通の高校生

運動ができるわけでもなく勉強ができるわけでもない。

だが一つたった一つ僕には人より優れていたものがあった。容姿?ちがう。スタイル?違う。歌がうまい?いいやちがう。

それは作詞だ。気づいたのは中学の頃だった。

何でもない音楽の授業。ただ、音に言葉をはめるだけの授業。最初は適当にやっていた。だが、僕には浮かんできた。次にはいる言葉が。

浮かんでははめていく。それの繰り返しをした。

それを見た先生が言った。君には才能があると。

それを聞いたみんなが言った。君は天才だと。

ろくに褒められたことのない僕は

嬉しかった、自分が認められたようでたまらなかった。それから僕は一つのコンテストに応募した。作詞をした歌詞を送るだけの簡単なコンテストだ。結果は入賞した。僕は学校で表彰され、

もてはやされた。嬉しい、楽しい、もっと褒めて

欲しい。僕は欲が出てしまった

いや出したんだ。

欲が出た僕は歌詞をかきつづけた。努力もせずに思い浮かんだ言葉をただ書いた。

ある時言われたんだ。

かのトーマスエジソンは言った、天才とは1%のひらめきと99%の努力だと。

当時の僕は、こう思った。

99%努力をしたところで1%のひらめきがないと100%にはならないんだ。1%を持たない人がいくら努力しても100%にはならない。

なら、1%がある僕はすごいんだ。やっぱり天才なんだ。そう思った。

そして中学3年生になり、僕の頭に歌詞が浮かんでくることは無くなった。そうだろう、何もおかしいことはない。何も努力せず頭に浮かぶものだけで書いていたのだから。

創造力とは

0を1にすることだ。

それにはさまざまな知識が必要だ。

人を知り、ものを知り、言葉を知る。

そうして人は0から1を作り出す。

なにも知ろうとせず自分が知ってるだけの創造力などいずれ限界がくる。

その限界がきたんだ。

僕にはもう歌詞を書く才能は無くなっていた。

それからの周りはひどかった

周りからもてはやされることもなく

そして僕は言われた

落ちた天才と

それからの僕はひどいものだった。

落ちて落ちて落ちて行った。

周りに蔑まれ馬鹿にされ

自分がいかにもろくいかに弱いかを知った。

そしてあのエジソンの言葉の意味がわかった。

1%のひらめきってのは、車の鍵だ。

そして、99%ってのは車だ。

車は車だけでは動かない。鍵でエンジンをかけなきゃいけない。そして、鍵は鍵だけでは価値がない。鍵と車その二つが揃ってやっと走ることができる。だから、天才には努力が必要だった。

たくさん努力して素晴らしい車を作り、その車を長く速く走らせるために鍵、ひらめきを使う。

そしてそれができた人を人は天才と呼ぶんだ。

僕には鍵しかなかった。そしてその鍵も折れてしまった。今の僕には輝く過去の栄光にすがることしできなくなっていた。


時がたち僕は高校に入学した。

僕の過去を誰も知らないここで僕は新しい人生を

始めるんだ。

音楽とは離れて。


白心高等学校入学式


桜が散る2020年4月

校長「みなさん、こんにちわ。みなさんは今日からこの白心高等学校に入学し、これから三年間ここで自分を磨いていくことになります。そして部活動に入り

………


入学式後のクラス

田中先生「おはようございます。これからみなさん1年D組の担任になる田中です。

よろしくお願いします。」

先生の自己紹介クラスメイトの自己紹介が一通り終わり僕は家に帰った。

そして次の日

田中先生「今日は部活動体験をしてもらいます。

好きな部活に行って体験してきてください」

ゆうや「おい、優作!何部いく!俺サッカー部かな!」

この人は谷川裕也(たにがわゆうや)。

僕に話しかけて来てくれて仲良くなった友達である。

容姿が良くて、先輩たちがクラスに見に来るほどだ。

だが、本人はそういうことに興味がないらしく

僕と仲良くしてくれている。

優作「うーん、部活は入る気ないかなー」

ゆうや「そうなの?せっかくの高校生活なのにもったいない。俺はサッカー部いってくるぜ!」

そしてゆうやは1人で行ってしまった

元気な人だなそう思って僕は家に帰ろうとした。

「まって、山田優作」

え?誰かに呼ばれた。僕が振り向くと

そこには僕より少し背の低い綺麗な女の子がいた。

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