第13話 償いって難しいね。

 実は私、さだまさしの「償い」が好きである。きっかけはニュース。罪を犯した少年二人に裁判官が説論したニュース。『償い』どんな曲? 


 交通事故を起こしてしまったちゃんは被害者の奥さんに毎月仕送りをする。人の命を奪ってしまった事故。仕事で疲れていてた、雨の夜だったという言い訳は通用しない。


「人殺しあんたを許さない」と罵られる。償いきれるはずもないけど、薄給でも、毎月仕送りをするゆうちゃん。


 七年目に初めて奥さんから手紙が届く。

「ありがとう。あなたの優しい気持ちはとてもよく分かりました。だからどうぞ送金はやめて下さい───それよりもどうかあなたご自身の人生をもとに戻してあげて欲しい」


 私だったら大切な夫の命を奪った人間を許せるだろうか。お金の問題ではない。夫との思い出、夫と築くであろう未来の幸せを奪われて……。


 とは犯した罪などに対して、金品や行為でうめ合わせをするという意味がある。ゆうちゃんは毎月仕送りした。誠意が伝わって許された?


 故意の殺人犯は自分の命をもって償う。死刑。永山基準で有名な永山則夫は十九才の時「連続ピストル射殺事件」で四人の生命を奪った。


 ネグレクト、虐待により親の愛を知らない。極貧生活。社会への復讐のための凶行。逮捕され死刑判決を受ける。獄中で文筆活動をし、印税を遺族に送金している。ペルーの子どもたちにも寄付。償ってるよね。現場の刑務官たちも償い続ける永山の死刑執行はされないと思っていたとか。


 更生した永山は、「神戸連続児童殺傷事件」で運命が変わる。『少年でも極刑にするぞ』アピールで死刑執行。やった事は消えない。償いって難しいね。

 


さて今回ご紹介するのはきんちゃん様、『若葉の頃』です。


 主人公柳田は、客の密集するパチンコ店に毒ガスを散布して大量粛清を図る。パニック状態の店内。それを見て躁になる柳田は後頭部に衝撃を受け、気がついたら病院のベッドの上だった。


 柴田と名乗る刑事の事情聴取。柳田がなぜそんな大量殺人という凶行に走ったのか。柳田の生い立ちと社会に対する不満を引き出そうとする柴田刑事。


 不運にも柳田の担当になった女性看護士は、柳田を自分の患者と割り切り職務を全うする。


「俺、別に死刑になっても構わないんですけど、人を殺してはいけない理由って何か有ります?」 柳田は柴田にそう言って自分の考えを話し始める。


 柴田刑事は柳田を理解出来ない。被害者に謝れっていう。当然の言葉だ。


 そんな中、担当になった女性看護士は医師と共に柳田の回復を全力で手伝う。


 この女性看護士、赤木っていうんだけど、めちゃくちゃ健気。


 赤木ちゃん、柳田のリハビリを見守り、褒めて、応援する。柳田が歩けると、真っ先に手を叩き、涙ぐんじゃう。


 これから裁かれて死刑囚になるはずの柳田を、病院スタッフが回復させる経緯に色々な事を考えさせられた。私も喜んで手を叩けるだろうか?


 そんな中で柳田は人間性を取り戻し、罪を償う事が出来るだろうか?


 

 全部言いたい。話したい。ラスト一話は特に衝撃的でした。ぜひご自分の目でお確かめください。


 https://kakuyomu.jp/works/1177354054918753246

 





 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る