第2話 文豪たちのエロスっていいよね。
実は私、映画「飢餓海峡」が好きです。
強盗殺人を犯した男が逃亡中に出会った女と一夜を共にします。その女は娼婦。たった一夜を共にした男に惚れた女。膝枕しながら切った男の爪を大事に紙に包んで懐にしまうんです。驚。
その女は男に会いたくなると、その爪をどうすると思います? 顔や首にそっと刺したり、這わせるんです。その男に愛撫されている感覚を味わうようにゆっくりと。もう一度言います。爪です。汚い爪です。生々しいセックスを見るよりも、衝撃を受けました。
そんな話を女友達にした事があります。彼女は自分の彼氏のある行動を見るとsexしたくなり、燃えると言いました。どんな行動だと思います?
自分の下着の恥部分を彼氏がマスクにしている時ですって。彼氏は変態ですか? と問いなからもそこにもエロスを感じました。笑
さて、今回ご紹介するのは、呪文堂様の『文豪と官能小説の狭間で』という作品です。呪文堂様にインタビューしたいと思います。
紫ハナス……「この作品を立ち上げようとどうして思われたのですか?」
呪文堂様……「文藝と官能小説との臨界点とは?』『文豪たちが切り開いてきたエロスとは?』『R15とはなんなのか?』といった、【許されるエロスを考察する】コラムを立ち上げてみよう、と考えました。
そのなかで『R15』と真っ正面から向き合い、守るべきもの、越えていくべきものを見出だしてみよう、と考えました。
紫ハナス……「刑法や憲法を引用し、許されるエロスについた考察されていましたね。興味深いです。そして、文豪たちのエロ技法がR15に対する具体的な対応策に合致しているのかどうか、検証されていましたね。6つの対応策を教えて頂けますか?」
呪文堂様……「はい、『隠喩』『暗喩』で露骨・詳細の回避、エロパートの『比重割合を下げる』。物語での『エロの必然性を表現』する。『物語の展開でエロ具合を緩和』させる、『思想・芸術的表現でエロを緩和』させる。『15歳未満の読解が難しい程度の表現』です」
紫ハナス……「ありがとうございます。その項目に照らし合わせて、夏目漱石の「行人」と、芥川龍之介の「好色」の考察は深かったです。呪文堂さま、これからも楽しみにしております」
芥川龍之介の「好色」、正直初めて知りました。平安時代のプレイボーイが、数々の女と恋に落ち、エッチしまくります。しかしどうしても落とせない女がいます。そういう時こそ男は燃えますね。その女を落とせない男は、悔しくて恋しくて、死にそうなほど身悶えます。
そこでその男のとった行動は? 女の一番の汚れを見たら嫌いになれるかもと、女のあるものを見たり、口にし……。
飢餓海峡の爪、変態マスク彼氏と同じ、いやそれを越える狂気に、ドン引きしながらもエロスを感じました。
呪文堂様の作品を通して、恐怖心や好奇心、性的衝動はエロ小説の想像力の源泉である事や、誰もが表現者であり発信者となり得る時代だからこそ、主張する権利やそれに伴う義務がある事を再認識出来ました。ぜひご一読を!
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