第50話 三つのしもべ達

「ヒュイッ!」

 

 ター坊伯父さんが、指笛の合図を送った。


 すると、陰で私達を見守っていたコーりゃん、クーにゃん、それにボスカーが、

一回り大きなパワード・モンスターに変身し、一斉にオートマトンに攻撃を始める。

 

 ボスカーが、まるで鋼鉄の矢の様に固くて鋭い羽を乱射し、オートマトン達のカメラを次々に破壊して行く。

 

 クーにゃんは目にも止まらぬ俊敏さで、オートマトンのバーニアのチューブを喰いちぎって脚の動きを止めると、コーりゃんは、甲羅から突き出た刺でオートマトンに体当たりし、機関部を破壊する。

 

 パワモン達のあまりの素早さに、武器の照準が追いつかないオートマトン達をあざ笑うかの様に、ボスカーは空中から舞い降りてオートマトンのメインモニターを鷲掴みにし、首のジョイントごと引きちぎると、クーにゃんと連携行動を取って、

オートマトンの首の下の機関部にあるメイン・プロセッサを破壊する。

 

「スゴい! ・・・あのコ達・・・、あれはひょっとして、ター坊伯父さんが?」

 

「ああ、そうだ。父の技術を応用して、私が遺伝子改造を試みた『改造種』だ。そして、お前の存在を肉親同様の存在だと認識させる『刷り込み(インプリント)』の本能を応用し、お前に危機が迫った時や寂しい時に、お前を見守る様に飼い慣らせてある」 


 パワモン達がオートマトンと戦っている隙を付いて、我問はキラとジェイドを武装ワゴンに案内し、対ロボット兵器、南部百四年式カービンの使い方を簡単に説明すると、早速オートマトンめがけて応戦するキラとジェイド。

 

 パワモンとキラ達がオートマトン部隊を全滅させる様子をモニターで見ていたゲッヘラーが、

 

「うぬっ・・・、よくも! この手だけは使いたくはなかったが・・・、」

 

 そこに、大きな円筒形の容器をつり下げたチヌークが接近して来る。ゲッヘラーは、勝ち誇った様に、我問にアナウンスで話しかける。

 

「我問、よく見ろ。これが何だか分かるか?」

 

「あ、あれは! 燃料気化爆弾!」

 

「そうだ、別名 ”デイジー・カッター” だ。これをここで起爆させたら、どう言う事になるか、お前に説明の必要は無かろう?」

 

「な、なんて事を!」

 

 我問のただならぬ様子を見て、訪ねるキラ。

 

「我問さん、どういう事?」

 

 すでに諦め顔のジェイドが答える。

 

「あの特殊爆薬は、湾岸戦争で無差別殺戮にも使われた、通常兵器の中では最も破壊力のある兵器だ。ナパーム焼夷弾の進化型で、半径5Kmの物を全て高熱で焼き尽くす性能を持っている」

 

「ハッハッハ。そう言う事だよ、奈々。バイオモデムは焼け跡からでも回収出来るからな。お前の仲間やご近所さん達、それに足立区民の半数を犠牲にしても良いのか?」

 

 そこに、新しく到着したオスプレイ改からオートマトン達がジェット降下して来て、ワタシ達を取り囲む。

 

 ワタシは、ゲッヘラーの汚いやり方に憤りを超えた怒りを感じていたが、罪も無い周囲の一般市民達に多くの犠牲を出す訳には行かない。

 

 ワタシ達はオートマトン達に手錠をかけられて拘束され、予め到着していた護送トラックに乗せられてしまう・・・。


パワモン達は、普段の姿に戻って身を隠し、それを、悲しげに見つめている・・・。

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