第44話 タイムスリップ
202X年 6月10日
光が収まると、そこには別の風景が広がっている。
「な、何が起こったんだ?」
「シン、我問さん、大丈夫?」
「どうやら設定値を高くしすぎたらしい・・・。そ、装置は無事ですか?」
「え・・・、装置・・・? こ、ここは?」
「さっきのラボじゃない!?」
「なんですって!? こ、ここは・・・、埼玉の私の秘密研究所??」
「そんな筈は! 研究所はゲッヘラーに破壊された筈!?」
「間違いない。だが、どうしてそんな事が?」
近くにあったPCを立ち上げると、パスワードを入れてログインする我問。
「やはり私のコンピューターだ。待てよ・・・、この日付は!?」
コンピューターの画面をのぞき込む奈々とシン。
「202X年6月10日? 3年前の日付じゃないか?」
「時刻設定が間違っているんじゃないんですか?」
「いえ、それはありえない。この時計はインターネットとシンクロしているんだ」
「どう言う事?」
近くのテレビの画面をオンにする我問。そこには、ごく普通の日常を映した番組がライブ放送されている。
「これは地震で破壊される前の東京の風景だ。奈々さん、シンさん、信じられないかも知れませんが、私達は実験の暴走で3年前にタイムスリップしてしまったらしい」
「タイムスリップ?」
「時間軸の流れと言うのは、4次元空間にそって進行しています。だが、それは重力場の強さによってゆがみが生じる物なんです」
「なんだか良く分からないけど・・・」
「私達がさっきまで立ち会っていた実験では、ハイドロフラーレンの結合によって強い重力場を生成させます。それが何らかの連鎖でマイクロブラックホールを発生させてしまい、時空に穴を開けて私達を過去に連れて来てしまったのでしょう。でもまさかこんな事が現実に起こるとは・・・」
「待てよ、202X年6月10日?」
「東京に地震が起こったのが202X年6月11日。つまり明日?」
「じゃあ、オレが無意識にロボットを操縦させられてさえいなければ、爆弾の投下を止めて大震災の発生も防げるんじゃ??」
「それは・・・理論的には可能ですが・・・、果たして過去を変えてしまって良い物かどうか・・・」
「良いも悪いもないでしょう! このまま大勢の人達が犠牲になるのを見過ごすなんて出来ないよ! しかもこのオレのせいで!!」
「今日があの日の一日前って事は、まだこの研究所の地下にはツヴァイとステルス戦車があるって事よね、我問さん?」
「その筈ですが・・・」
「ここの地下にツヴァイが?」
「ええ、そうよ。あの日、つまり明日。私達は、ここに逃げ込んでゲッヘラーの急襲に遭い、私はツヴァイでそれを撃退してあなたの乗ったアインと戦う事になったの」
「じゃあ、まだ今日はオレは奴らに捕まってさえいないんだな? よし、ツヴァイはオレが操縦する!」
「でも、どうする気?」
「すべての元凶はゲッヘラーとハイドロフラーレン爆弾だ。それさえ阻止すれば、大震災は止められる!」
「分かった。私達も行きましょう、我問さん」
「爆弾はまだゲッヘラーの格納庫にある筈だ。私に良い考えがあります。シン君は私から連絡があるまでツヴァイで待機していて下さい。奈々さん、行きましょう!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます