第25話 エグゼター
私達は地下施設へと向かう。
その様子をドローンのカメラからモニタリングしていたゲッヘラー、
「どこへ行く、我問? なんなら屋敷ごと丸焼きにしたっていいんだぞ。バイオモデムは焼け跡からでも回収出来るからな」
そこへ続々と飛来する応援のフライングマトンと、オスプレイ改からラペリング降下するグランドマトン達。
「さあ、すっかり取り囲んだぞ。悪あがきはもう止めろ。3秒だけ待ってやる。アイン、 ツヴァイ! デュレイ!」
洋風の館からは、何の反応も無い。
「私を甘く見るなよ。構わん! 建物ごと奴らを潰してしまえ!!」
グランドマトンとフライングマトン達の一斉射撃が始まり、火の粉を上げながら炎上する洋風の館。
その時の私は、我問さんに指示されて、キラに下着まで脱がされてスッ裸にさせられてから、高さが25mくらいあるヒト型ロボット『ツヴァイ』に乗り込む為のヘンな服に着替えさせられてた。
「ちょっと、キラ、恥ずかしいよ! なんでこんな服を着なきゃ行けなの!?」
「奈々、これは『耐加圧生命維持スーツ』って言って、アナタがこれから操縦する飛行ロボットの中で、アナタのイノチを維持するためにゼッタイ必要な装備なの!」
そうは言われても、この服はまるでレオタードみたいに肝心な部分のボディラインが丸見えのなで恥ずかしい・・・。
でも、初めて見る大型ロボット、サイバーマトン エグゼター級 弐号機『ツヴァイ』の胸の中心部分にあるカプセルみたいな操縦席に座ったら、私の心がロボットとシンクロして、まるでもう私の身体の一部分になった様な気分。
そこに、急に爆音と轟音が鳴り響き、ゲッヘラーの総攻撃で急に地下施設の壁が崩れ落ちて来て、身の危険を感知した私は、完全にもう一人の『ワタシ』になっていた。
地下の基地の屋根が瓦礫となって崩れ落ちて、ワタシはツヴァイごと生き埋め状態になり、我問さんの研究所も建物ごと崩壊し、一瞬あたりが静まり返る。
「フン、口程にもない奴らだ。 よし、瓦礫の下から奈々のバイオモデムをスキャンして回収しろ」
ワタシとツヴァイのO.S.がシンクロし、コクピットの中が光に満ちあふれる。
ゲッヘラーが命令したその瞬間、建物の一部が大きな噴煙と共に、まるで火山の噴火の様に空に舞い上がって稲光を発し、噴煙とは反対方向に一筋の赤いビームが走って、一体のフライングマトンを撃墜する。
「ドォ~~ン、バリバリバリッ」
想定外の出来事に狼狽するゲッヘラー。
「何っ! 何が起こった??」
ワタシは、ツヴァイのO.S.に導かれるかの様に、再び激しい噴煙と稲光と共に、バッキー・キャノンの狙いを定めると、次々とフライングマトンを撃墜して行く。
「バン! ヒュルヒュルヒュル、ドドォ~ンッ!!」
ワタシは頭の中に周囲のグランドマトンを破壊するイメージを思い浮かべると、ツヴァイに装備されていた地対地型誘導クラスター爆弾が自動的に打ち上がり、クラスターのハウジングが空中で破裂四散してグランドマトン達のメインモニターのカメラを次々と破壊する。
「ま、まさか・・・、そんな筈は!!」
ツヴァイは吸気口を塞いでいた瓦礫をH60の高速逆噴射で押しのけ、大気中の酸素を吸入すると、浮上用スロットルを最大にしてH60のアフターバーナーを全開する。
轟音と大きな竜巻と共に、重さ何十トンもある瓦礫の塊を軽石の様に渦を巻き上げながら上昇するツヴァイ。
ゲッヘラーのモニターには、周囲の瓦礫の渦巻きと稲光の中に現れた、サイバーマトン・エグゼター級 ” ツヴァイ ” の様子をあっけに取られなが見ていた。
「あ、あれは・・・、本国へ輸送中のエグゼター弐号機!! ツヴァイがなぜこんな所に??」
ワタシのツヴァイが押しのけた瓦礫を乗り上げながら1台のステルス戦車が現れ、操縦している我問さんが叫ぶ。
「そちらこそ私を甘く見ていた様ですね、ゲッヘラー! 越路博士達の大事な研究を、あなたの野望に使わせる訳には行きません。
何より、篤人博士のお孫さんがそれを許しませんから」
「なんだと? ではツヴァイを操縦しているのは・・・??」
「その通り、奈々さんですよ」
ゲッヘラーのモニターにバイオモデムとシンクロし、別人の様に冷酷な目の色をしたコクピットのワタシの姿がズームインされている。
ゲッヘラーが悔し紛れに、
「クっ・・・。 我問、私のツヴァイを返せ!!」
「無駄です。エグゼタータイプを本当に操れるのは、バイオモデムと融合した奈々さんだけなのですよ。ゲッヘラー!!」
「こざかしい真似を!! 総攻撃開始!!」
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脚注:『ツヴァイ』の設定デザイン。
https://kakuyomu.jp/users/may_2018/news/16816927860065868540
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