第20話 パワード・モンスターズ
オートマトン達に上空から黒い矢の様な金属羽が降り注いで、オートマトン達のメインカメラを破壊する。
ワタシは空を見上げると、まるで翼竜みたいに巨大化したボスカーが、オートマトン達めがけて黒く伸びた羽根を放ち、攻撃している。
私の心に、馴染みの公園のペット達の声が聞こえる。
「待たせたな、奈々。オレ達の役割は、主人である奈々の命を守る事。これでようやく封印から解き放たれた。オレ達の活躍ぶり、まあ見てな」
「な、何? この声の主は、ボスカー? やっぱりアナタ達なの!?」
「ボクだって、負けちゃいないさ!」
ただのイシガメだったコーりゃんが軽自動車並みに巨大化すると、甲羅から刺が突き出たアルマジロの様に変身し、丸まりながら猛スピードで突進して来て、オートマトン達を体当たりで破壊する。
「どんなモンだい? 奈々!?」
「コーりゃん、スゴイっ!」
さらに、ライオンみたいな大きさになって、毛並みが鋼鉄みたいなハリガネになったクーにゃんが、オートマトン達の首に噛み付き、次々と機械の頭部や四肢を喰いちぎってしまう。
「奈々、コイツらを喰っても全然旨くニャイよ~!」
「クーにゃん!? 分かったよ、今度はもっと上等なご飯をご馳走するから!」
オートマトン達はM249MINIMIでボスカーやコーりゃん、クーにゃん達向けて発砲するが、彼らの固くなった毛皮や甲羅の装甲と、俊敏な動きには歯が立たない。
私は、その様子をあっけに取られながら見ていると、
「どうだ、奈々? オレ達だって、けっこう頼りになるだろ?」
い、いや。 急にそんなコト言われたって・・・。
てゆーか、アンタ達! 一体ナニ物!?
私があっけに取られている間に、続々とオートマトンを搭載した大型トラックが到着し、両ウィングが開いた。オートマトン達八機が出撃体制を取り、パワモン達が攻撃態勢を取ったその瞬間!
「ドォオオオオ~~~ン!!!」
激しく火柱をあげてオートマトンと炎上する大型トラック。そこにはリムジンと、サンルーフから身を乗り出してAT4/ロケットランチャーを構えたキラがいた。
「お迎えにあがりましたわよ、お嬢様」
ワタシの目の色が元に戻り、
「キラ! どうしてここに!?」
「ター坊伯父様から連絡があって、迎えに来てみたら、まあ、なんて有様?」
そこにター坊伯父さんからの通信が入り、
「奈々、私は自分の家と親父の研究資料をパワモン達と共に守らねばならん。
キラやジェイドと敵を出来るだけ遠ざけてくれ!」
「分かったけど、パワモンって?」
「私が遺伝子操作した新種、君の味方をしているモンスター達だ!」
私が急変し続ける事態に混乱していると、キラが、
「こっちに敵の新型機械化部隊が向かって来てる! ここはひとまず退散よ、早く乗って!!」
「わかった! 南部さん、坂井君、こっちへ!!」
怪我をした2人を連れ、リムジンへ向かう私。
だがその時、続々と現れる大型ウィング式トラックから出撃して来たオートマトン達が、坂井君めがけて一斉に放った十字架型の軟質ゴム製非殺傷性40mmスタン弾が胸に当たり、坂井君は衝撃で吹き飛ばされ、気を失ってしまう。
キラはリムジンから降り、近くにいた奈々と我問を無理矢理リムジンに押し込むが、坂井君はオートマトン達に捕われてしまった。
「坂井君!!」
私達のリムジンめがけて、オートマトン達がM249 MINIMIのベルトリンク式5.56mm SS109弾の弾幕を張りながら攻撃してくる。
私の三匹のパワモン達(コーりゃん、クーにゃん、ボスカー)も助太刀に加わろうとするが、続々と現れるオートマトン達が二手に分かれ、一方は対パワモン・フォーメーションを組み、ター坊の家を守るのが精一杯の様だ。
その様子を見てキラが叫ぶ。
「坂井君を助けている時間は無い。 出して、ジェイド!」
「了解!!」
ホイールスピンが黒煙を上げて急発進するリムジン、焼けるゴム臭の中、私はパニくって叫ぶ。
「戻して! 坂井君が!!」
「現状を良く把握して、奈々! こっちは頭数で圧倒的に不利なんだから」
「でもっ!」
「それより、奈々。 この人の手当を!」
「・・・分かった」
私は、持っていたハンカチーフで我問さんの傷の上腕部を押さえて、止血処理を施す。
その時キラが、リムジンの背後からの追っ手に気が付く。
足のインラインスケート状車輪で加速し、背中と足のジェットパックから炎を吹きながら高速で接近して来るオートマトン達。
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