第72話 護衛依頼 その3

 スケルトンのドロップアイテムは碌なものがなかったが潜りモグラはいいものをドロップしてくれるのだ。その代わりスケルトンに比べて出現率が低いから魔石を集めるのが大変なのだが。


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潜りモグラの爪 一般級 ☆3

潜りモグラの爪。切れ味が抜群なため取り扱いに注意


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小鉄塊 一般級 ☆3

小鉄塊。鉄球として使うにはちょうどいい


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砂金 一般級 ☆3

砂金。装飾に使われるため高額で取引される


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魔銀の粒 一般級 ☆3

魔銀の粒。別名ミスリルとも呼ばれ極めて魔力伝導性が高い


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潜りモグラの魔石 一般級 ☆3

潜りモグラの魔石。体内で魔素が硬化したもの


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 潜りモグラがドロップするアイテムの一覧がこれだ。見て貰えば分かるがこいつは倒すと金属をドロップしてくれるのだ。潜りモグラの生態が鉱山に生息して希少金属を主食としているため体内に金属が蓄積されていると〈鑑定〉に表示されていた。

 そして、体内に蓄積されている金属が鉄、金そしてミスリルだ。こんだけ豪華なアイテムをドロップするなら倒しがいがあるというもの。

 鉄は装備を作るのに大量に必要になるし、金もアクセサリーの装飾として人気がある。それにほんの少量だがドロップするミスリルもここでは兄弟とのつてがないと買えないので言わずもがな価値が高い。残念ながらミスリルは本当に少量なので防具を作れるほど量はないがそれでも頑張ればアクセサリーを1つ作れるくらいはドロップするだろう。

 今のところこの鉱山に来ているプレイヤーは少ないだろうし、潜りモグラからミスリルが出るという情報は出回っていな。もし、この情報が出回れば魔術師系のプレイヤーがこぞって鉱山にやってくること間違いなしだ。

 だから今日、明日のうちに私も魔石とミスリルを収集してそれなりに集まったら、検証班に情報を売ってやろう。本当なら情報は新鮮な方がいい金額で売れるのだが私もドロップアイテムが欲しいからな。多少鮮度が落ちても仕方がない。大事なのは他のプレイヤーが潜りモグラからミスリルがドロップすると言うことを掲示板などに書き込む前に情報提供しなきゃいけないということだな。


「おっしゃあ!! お前ら再開するぞ!!」


「「 了解しやした!! 」」


 兄弟たちも採掘を再開したので私も護衛に戻りますか。次は潜りモグラ大量でお願いしますよ。わんこそば形式でももちろんいいからな。期待してるぞ運営よ。


・・・


・・



「アブソープ」


 このアーツは便利だな。敵に触れ続けることで相手のMPを奪うことができるが、触れるだけでも1だけは確定で奪うことができる。

 ターンアンデットのリキャストが終わるまでは手持ちぶさたなので近接戦でスケルトンと戦っているのだが、近接戦なら敵に触れることが多いのでアブソープが輝くというわけだ。しかもアブソープは発動から10秒間は継続して効果が発動するのでその点も優秀だ。攻撃を食らわないことだけを意識すれば意外と簡単に捌けるからな。


 守之術理 廻々


 剣を振り上げながら突っ込んでくるスケルトンの肩に手をかけその場で空転させる。グヘヘヘ。そんなとこで寝転がってていいのかな? ん~? そんなに私にMPを吸収して欲しいのかな?


 攻之術理 震撃


 地面に放り投げられたスケルトンに追撃の一撃を放つ。スケルトンの頭蓋に触れ放った攻撃は外傷を与えることなく内部に浸透し、パンっと音をたて内部で衝撃波を発生させる。

 久しぶり使う技なのでスケルトンで練習しているのだ。私はどうも双心流の攻撃の型『荒』が苦手でな。なんでも攻撃に使える技はどれも人に向けて放てば障害を残してしまうことは確定だ。鍛錬でもいつも架空の相手に向かい技を練習するだけで実戦で使ったのは数回ほどなのだから。

 その分スケルトンは人型だし。なんの躊躇いもなく練習台にできるから助かっているよ。前にプレイヤーに嫌われる魔物になるとか言ったな。あれは嘘だ。私はいつでも練習に付き合ってくれるお前のことを見捨てたりしないさ。 


「ターンアンデット」


 それでもスケルトンにはこのアーツが最適なんだよな。数が多くなってきたら盤面処理で多用させてもらっていますよっと。

 

「リフレクト」


 私がアーツを使用すると眼前に白色の魔術心が生み出され光の粒子を伴い徐々に半透明の盾が現れる。そして、奥から飛んできた火球を防ぎ反射する。

 スケルトンの群れの奥にマジシャンが出現していたようだ。マジシャンはスケルトンの中でもアーチャーと同じ遠距離攻撃を仕掛けてくるので早めに処理しないとめんどくさくなるのだ。

 一度処理に遅れて鉱夫の一人に攻撃が飛んで行ったときは焦ったものだ。いや、ほんとマジで。だが、鉱夫の人に当たった瞬間、甲高い音を立てて弾かれたときはさすがに驚いたが。念のため兄弟たち全員にパラメータ上昇系のバフを全部かけ続けていたのが功を成したとも言えるが、もともと鉱夫たちはVITは高かったようだ。

 まあ、ダメージを食らわなかったからといって敵の攻撃を通す理由にはならんがな。


 歩之術理 縮地

 

 ガチャガチャと音を立てながら近づいてきたスケルトンナイトをしり目にスケルトンマジシャンとの距離を詰める。すまないね、ナイト君。ちょっと席を外させてもらうよ。


 攻之術理 震撃


 瞬時に近づきマジシャンの頭部に掌底を放つ。一拍おき破裂音と共にマジシャンが光の粒子となり空間に溶けていく。だいぶ感覚をつかんできた。最初の方は頭蓋骨の中心で衝撃を解放させる感覚がつかめずに頭蓋骨が三日月状になった個体がいるので成長していると私は思う。それでもスケルトンは頭部が半分以上なくなると消滅するようなのでしっかりそのスケルトンも粒子になり消えていったがな。

 〈震撃〉を練習しているのもバーストロックを内部から破壊するためなのでスケルトン相手に爆破箇所を調整できるようにもっと練習しなければならんな。


「兄弟!! 潜りモグラを引いたぞ!!」


 さすが兄弟だ。潜りモグラが居そうなところを優先的に掘っててもらった甲斐があるってものだ。これでヤツもかなり倒せているし魔石の数には期待してもいいかな?

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