第60話 鉱山の街
〈戦闘が終了しました〉
〈フィールドボス初回討伐ボーナスがインベントリに送られます〉
〈〈とあるパーティにより始まりの街のフィールドボスが討伐されました。これにより次回から出現するフィールドボスは弱体化されます。詳しくはヘルプをご確認ください〉〉
ん? これで終わりか? レベルアップのインフォは?
......無いようだ。ボスを倒してもレベルが上がらないとなると次の街でもレベル上げをするのは大変そうだ。
「やっと終わったね。まさか、このレベル帯で苦戦するとは思わなかったよ。運営を少し舐めてたかも」
「ほんとそれな。俺もあと数秒で獣化の効果が消えるところだったから、正直焦ったぜ。それにラストアタックも決めれなかったからな。チラッ」
「そんな目で私を見るな。それと効果音は口頭でつけるものじゃないぞ。後、言っておくがラストアタックボーナスはないから誰が倒しても同じだ」
隣でレオが「そういうことじゃないんだよな~」と不貞腐れているが気にする必要はない。
それより聖が言っていた通り、序盤に出てくる魔物にしては強かった。特に取り巻きが多いのが苦戦の原因とも言える。
「終わったことは気にするもんじゃないぜ。とりあえず今日の所は鉱山の街に行って解散でいいだろ?」
「不知火殿に同意ですぞ。吾輩は徹夜したものですから疲れてましてね。全く、年は取りたくないですな」
そうだな。私も疲れが取れたとは言えない。今回の詳細は次にログインした時に調べればいいだろう。と言うことで見えて来たのは鉱山の街。
外観は始まりの街と変わらない。街の中心にある領主の館から同心円状に城壁が聳り立っている。そんなことより早く中に入ろう。
「おい、止まれ。この街に入るなら身分証を見せろ」
街に入ろうとした瞬間、門番に止められた。そうか、始まりの街では街に入るのに検査などないから忘れていたが、普通に考えれば身分が保証されていない者を街に入れるはずがないか。
ゲームにしては厳しい気もするが断って牢獄行きは嫌なので素直に冒険者カードを見せる。
「冒険者か。入ってよし。ようこそパールに。戦士の装備ならこの街だと相場が決まっているからな。ぜひ、楽しんで行ってくれ。ちなみに冒険者ギルドはこの道を真っ直ぐ行ったところにあるからな」
問題なく街に入ることができた。
門番よ、職務とはいえ態度が悪い奴だと思ってすまなかった。冒険者ギルドの場所を教えてくれる親切な人だったとは。
「私は冒険者ギルドで依頼の報告をしてくる。この後はどうする?」
「俺は酒場にいって情報収集だ」
「僕はログアウトかな」
「吾輩も聖殿と同じく」
「俺も獣化のペナがあるからログアウトだな」
「俺は装備の素材を探してみるから市場にでるつもりだ」
それぞれの返答を聞きながら今後の予定を考える。
私は用事がすんだらログアウトする予定だ。次にログインするのは昼過ぎになるだろうし、今日は個人行動で良いだろう。
「了解だ。それじゃあ、今日は各自やりたいことをするようにしよう。なにか用があったらメールで伝えてくれ」
そう言い残し私は冒険者ギルドに向かう。
今日の昼は何にしようか。そう言えば焼き鳥を食べるって決めていたのだった。焼き鳥って言ったら、皮のタレだよな、異論は認めない。
〈ログインしました〉
さて、戻ってきたわけだが、とりあえず師匠からの言いつけ通りこの街の教会に行くことにする。街の配置はログアウトする前に一度確認しているので迷うことなく教会に着ける。
今回の報奨金だが、一人につき12,000バース程だった。
残念ながら冒険者ギルドにはイーコスウルフの討伐依頼が出ていなかったので、ファングウルフの依頼しか受けれなかったためだ。
それとイーコスウルフからはイーコスウルフの増音袋というアイテムがドロップした。不知火たちがイーコスウルフの牙などだったことを鑑みればレアドロップだったのかもしれない。
イーコスウルフの増音袋は音を増幅する効果があるようだ。今度、生産職のフレンドに活用法を尋ねることにする。一応フィールドボスからのドロップアイテムなのでそれなりのものができると思う。
それでは本題に移るとしよう。
もちろん、初回フィールドボス討伐ボーナスの確認だ。いつもなら習得したアーツの確認をするところだが今回は1レベルも上がらなかったからな。
その分初回討伐のボーナスを貰えたと思えばいい。
何が出るか楽しみだ。
子供のように逸る気持ちを押さえてインベントリの中にあるギフトの欄をタップするとそこにあったのは......スキルの書〈選択〉だった。
チュートリアルを受けた時に貰えるアイテムだ。確かに欲しいスキルがタダで手に入るには魅力的だが、そうじゃないだろ。
強力な装備や武器を期待していただけに落胆は隠せない。
こうなったらやけっぱちだ。
スキルショップに行こう。一番高いスキルを習得してやる。教会に行くのはその後だ。
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