第24話 フレンドのレベリング その3

「今はパーティを組んでいる訳だから連戦してもゼロにはダメージは行かないでしょ。そういうことだからリア、準備良いかしら? ゼロがやってた戦闘方法を実行するわよ」

「もちろんです。どんどん行きましょう」

「ミサキさん良いんですか? リアさんにはまだ連戦はきついと思いますよ。リアさんも無理することはありませんからね」

「いえ、心配は無用です。それにもし私が危なくなってもゼロさんが助けてくれるんですよね?」


 リアさんが私に向かって両手を胸の前に掲げながら挑発的な声で少し首を傾げる。何ですか、そのうるうるした目は。なんという破壊力!! かわいすぎるぞ。......ダメだ、やべーよ。これでは私の語彙が死んでしまう。


「ええ、もちろんです。もし危険に陥ることがあればここにいるホーンラビットをすべて殲滅します」

「ちょっとリア、ゼロにそんなやる気出させないでよ」

「......そんなつもりは無かったんですけど」

「さあ、何しているのですか。ウサギ狩り再開しますよ」


 これはリアさんの期待に応えないといけないな。まずは近くのホーンラビットのタゲを取り、そいつにダメージを与えながら別のホーンラビットのところに向かうとしよう。


「今はバフが掛かっている状態なのでミサキさんたちは近くのホーンラビットに攻撃しながら別のホーンラビットの所まで移動してください。途中で私が合図するのでそしたら次のホーンラビットのタゲをお願いします。残ったホーンラビットは私がポイズンで仕留めますのでどんどん瀕死状態まで追い込んでください」

「あら、ゼロのスイッチが入ちゃったわ。しょうが無いわね」

「私のせいですみません。まさかここまでやる気がでるなんて思いもしませんでした」

「気にしないの。ゼロはケモナーだから物を頼むときには気をつけなさい。きっと張り切ってとてつもない代物を持ってくるかもしれないわ。それより行くわよ」

「はい!」


 私のことをなんだと思っているのか小一時間問いただしたい気分に襲われるが確かに私はケモナーだと自覚しているから何も言い返せない。

 いや、仕方ないよね。それに君たちも分かるだろあの生物の可愛さが。まあ、私の話は一旦置いといてウサギ狩りの話に戻ろう。

 なんだかんだ私に呆れながらもミサキさんたちもやる気が出てきたようでさっそくホーンラビットに攻撃を与えている。


「パラライズ......エンチャント・ブルーアップ」


 ホーンラビットを麻痺の状態異常にすると共にリアさんにDEX上昇のバフを掛ける。

 今、私が使えるパラメータ上昇のアーツは全て1人ずつバフを掛けていかなければならないので白黒の効果を継続させるためにも慎重に選ばなければいけない。ただ、戦うのが格下の相手だったら話は別だ。


「ポイズン。ミサキさん次のホーンラビットのタゲをお願いします」

「ええ、分かったわ。切り裂けゲイボルグ!!」


 ホーンラビットのHPが1割を切ったのでさっそくポイズンを使う。そして、ポイズンによって倒れる前にミサキさんが別のホーンラビットのタゲを取る。

 ここまでは完璧だ。次からはどんどん白黒のおかげで殲滅速度が上がるので私が二人に合わせなければいけない。少しでもタイミングがずれると最初からやり直しになってしまうからな。

 それと1つだけミサキさんに言いたいことがある。と言っても本人の前では言えないのだが......ゲイボルグは槍では無いだろうか。ミサキさんが持っているのは剣なのですが。


「ナイスです。......エンチャント・クリアアップ.......パラライズ」

「良い調子ね。次はリアがタゲを取ってみなさい」

「はい。やってみます」


 今度はミサキさんでは無くリアさんがタゲ取りをするみたいだがホーンラビット相手なら特に問題は無いだろう。魔物によっては注意しないと1体に攻撃をするだけで周りにいるやつらもリンクする場合があったりするが今は関係ない話か。


「リアさん、次に行ってもらってもオッケーです。ほいっと、エンチャント・イエローアップ......ポイズン」


 個人にしかバフを掛けられないのは不便だ。全体用のバフもそのうち覚えられると思うがまだ先の話だろう。もしかしたらルドルフさんに教えてもらったリーンさんならなにか知っているかもしれない。




 あれから大体30分くらい経っただろうか。私のインベントリを見るとアイテムが100個以上あるのでホーンラビットは100体単位で倒しているのだろう。

 今、私達は機械のように感情を捨てて戦っているからな。無心だ。まさにこれが祖父の言っていた戦いの極致なのだろうか?


「ミサキさん、そろそろ終了しますか? 私が思うにこれ以上ホーンラビットを倒しても経験値が少ないのでレベルが上がりにくくなると思いますよ」

「ええ、そうね。流石に私も疲れたわ。特にリアなんて顔から笑みが無くなってるものね」

「リアさんには少し無理をさせすぎてしまいましたね。まさかこんなに連続で戦うなんて思いもしなかったでしょうから」


〈戦闘が終了しました〉

〈光魔術のLVが上昇しました〉

〈光魔術の新しいアーツを習得しました〉

〈闇魔術のLVが上昇しました〉

〈闇魔術の新しいアーツを習得しました〉

〈INT上昇のLVが上昇しました〉

〈魔力操作のLVが上昇しました〉

〈鑑定のLVが上昇しました〉

 

 分かってはいたがあれだけのホーンラビットを倒してもレベルは上がらないみたいだ。レベル差があると貰える経験値が減少するのだろう。だが、有り難い事に戦闘中も鑑定を発動させていたからレベルが上がっている。


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NAME:ゼロ

RACE:デミヒューマン LV12

JOB:神官 LV12

SP:0

JP:60


HP:62/62

MP:196/206

STR:10

VIT:10

INT:64〈+13〉(+3)

MND:16

AGI:10〈+1〉(+50)

DEX:10


オリジナルスキル

〈白黒LV2〉


スキル

〈光魔術LV13〉

〈闇魔術LV13〉

〈書術LV5〉

〈INT上昇LV13〉

〈魔力操作LV13〉

〈鑑定LV5〉


称号

〈チュートリアル完全達成者〉

〈ゴールドハンター〉

〈疾風迅雷〉


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 今回の戦闘で白黒の強化内容が分かった。と言っても変わったのは上昇値だけだった。しかし、掛けたバフ全てを強化出来るのは十分強力だろう。最大まで上昇値を向上させると+20の補正がつくからな。

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