第14話 【 子供のいる生活 】
太狼は二人のメリーさんを連れて、
再び駅の近くに、買い物に来ていた。
すると、メリーさん(幼女)が、
太狼の袖を、クイクイッと引いた。
「……ん?」
「お兄ちゃん、どこに行くの?」
「今日は、お前の洋服を買いに来た」
「……ほんとっ!?」
「あぁ。さすがにその一着じゃ、しょうがないからな」
メリーさん(少女)が、太狼を呼んで指を指す。
「太狼さん、あそこなんかどうですか?」
「あぁ、ユニシロか。そうだな、見てみるか」
三人は店に入ると、色んな服を見て周り、
それを持って、試着室へと向かっていった。
「よし、こんなものかな……」
「どうだ、着せられたか?」
「はい、大丈夫です。どうぞっ!」
メリーさん(少女)が、メリーさん(幼女)に服を着せると、
試着室のカーテンを開け、着替えたメリーさん(幼女)を見せた。
「お兄ちゃん、似合う?」
「おぉ、いいじゃねぇか。よく似合ってるよ」
「ほんとっ!? えへへっ、やったぁ〜っ!」
「ただ、少し袖がブカブカだな」
「ですね。今は折ってますけど、これはどうしたら……」
「確か、直してもらえなかったっけな」
すると、近くの店員が様子を見に来た。
「どうですか、お客様……」
「あの、袖の丈直しって、頼めるんでしたっけ?」
「はい、できますよ。あちらで……」
「あぁ、あそこか。なるほど……」
太狼が店員に説明を受けている間に、メリーさん(幼女)は、
メリーさん(少女)と、上着を着てファッションショーをしていた。
「お兄ちゃん、見て〜っ!」
「見てください、太狼さん。可愛くないですか?」
「おぉ。なんかモコモコしてて、可愛いな」
「そうなんですよ。なんかこう、ギュッとしたくなりますよね」
「えへへっ。お姉ちゃん、あったかぁ〜い!」
メリーさん(幼女)は上着の上から、
メリーさん(少女)に抱きしめられて、
温もりに包まれながら、幸せそうに笑っていた。
「ふふっ、可愛い娘さんですね」
「あははっ、どうも……」
「素敵な奥様と可愛いお子さんがいらっしゃって、羨ましいです」
「……お、奥様っ!?」
「ほんとに、自分にはもったいないくらいで……」
「そんなことありませんよ。旦那様の愛があってこそです」
「いえいえ、そんな。恐縮です……」
「それでは、試着が終わりましたら、受付までお願いします」
「はい、分かりました。ありがとうございます」
そういって、店員は別の客に声を掛けに行った。
「わ、わわわ私たちって、ふ、ふふ夫婦に見えるんですね…」
「二人で一人の子供を面倒見てたら、そう見えるんだな」
「えへへっ。お姉ちゃん、お顔が真っ赤っ!」
「……ふぇっ!? いや、それは……その、えっと……」
「ほら、他の服は試さなくていいのか?」
「そ、そそそそそうですねっ! 暫くお待ちくださいっ!」
そういって、メリーさん(少女)はシャーっとカーテンを閉めた。
「お姉ちゃん、どうしたの?」
「ちょ、ちょっと待ってくださいね……」
「……?」
メリーさん(少女)は少しの間、顔を抑えて固まっていた。
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