第3話
俺は動くのを忘れてしまってた。動けなかった。今となっては動こうと努力してたのかさえ
でもその
だけど俺の
「望みは何かしら」
瞳が目の前にあった。声はもちろん耳に入ってたかもしれないけど、瞳に吸い寄せられてた俺は気づけなかった。
「聞こえている?」
そこでようやく俺は自分が話しかけられてると気づいた。
「あ、ああ、すいません。考え事をしてたので」
「そう」
そっけない。答えても変わった様子はない。といっても見えるのは目だけ。黒い底なし穴のような瞳だけ。動きはなく表情が読めない。
「ではもう一度聞くわ。あなたの望みは何かしら」
今度ははっきり聞こえた。意味もわかった。でも何のことを言ってるのかさっぱりわからない。
「あのう、すいません。何をおっしゃってるのか、全然わからないんですけど」
「えっ」
あの瞳がかすかに動いた。初めて感情が見えた気がした。こっちの返答が予想外だったんだろう。不意を突かれて普段は内面を
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