「さてカリナさん、どこか見に行きたい所ってありますか?」

「そうですねぇ...やっぱり鉱山都市ならではって所が見てみたいですかねぇ～」

「あぁ、それならうってつけの場所がありますよ。廃鉱になった鉱山跡です」

「へぇ～鉱山跡ですかぁ～それなんか面白そうですねぇ～」

「面白いですよ。昔の人がどうやって金や銀を採掘していたのか、その歴史を辿ることが出来ますし、お金を払えば採掘を体験することも出来ます」

「おぉ～!　体験ツアーですか～!　なんか楽しそうですね～!」

「えぇ、それに廃鉱になったとは言っても、採り残しはありますので、もしかしたらお宝を発見できるかも知れません。見付けたお宝は自分の物に出来るんですよ」

「なんと!　お宝発掘ツアーまであるとわ!　ロマンを感じますね～!」

「この町の観光の目玉ですからね」

「行きましょう!　すぐ行きましょう!」

　私はフローラさんを急かすように歩き出した。

「カリナさん、慌てないで。鉱山跡は逃げたりしませんから」

　フローラさんが苦笑している。いや分かってるけどさ、そんなこと聞いたら一刻も早く行きたくなるじゃんか!

「じゃあ行きましょうか。場所が遠いんで町から馬車が出てるんですよ」

「では馬車乗り場に急ぎましょう!」

　私達が馬車乗り場に向かって歩き出した直後だった。

「クエッ!　クエッ!　クエッ!　クエ～!」

　えっ!?　この聞き慣れた鳴き声は!?　私はビックリして空を見上げた。

「す、ステラさん!?　な、なんでこの町に!?」

　そこにはこれまた見慣れた鳥の姿になったステラさんが飛んでいた。ステラさんは私達のすぐ近くに着地した....と思ったら、いきなり全裸のまま私に抱き付いて来た。

「ガリナざ～ん、会いだがっだ～!」

「うげっ!?　ちょ、ちょっと...ステラ...さん...ぐ、苦じい...」

　脳筋のステラさんに思いっきり抱き締められた私は、息が出来なくなって喘いだ。いやマジで苦しい...

　私はステラさんの背中をタップしてなんとか離れて貰おうとするが、聞こえてないのか気付いてないのか、ステラさんはワンワンと泣き続けるばかりで一向に力を緩める気配が無い。あ...ヤバい...気が遠くなって来た...

「あ、あの!　な、なんですかあなたは!?　ち、恥女ですか!?　ち、恥女なんですか!?　と、とにかくカリナさんから離れて下さ～い!」

　フローラさんが必死になって引き剥がそうとしてくれたお陰で、やっと少しだけステラさんの力が弱まった。

　助かった...死ぬかと思ったよ...

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