第239話 1日目終了
「お見事でした」
私はラウムさんとアスカさんの働きを労った。
「なに、大したことはない」
「そうですね。歯ごたえのない相手でした」
すると安全を確認したセリカさんが瞬間移動して来た。
「お疲れ様でした」
もちろんナタリアさんとヒルダさんも一緒だ。
「セリカさんもお疲れ様です」
「さて、コイツらどうする?」
ラウムさんがノビている盗賊共を指差した。
「剣の腹で叩いたからな。意識を失っただけでまだ息はある」
「私も風の魔法で吹っ飛ばしただけなのでまだ生きてますね」
私はちょっと考えてから、
「コイツらってギルドに引き渡せばお金になりますか?」
「あぁ、なるぞ。生きて渡せば罪人として過酷な労働場所行きになるからな。鉱山での掘削とか荒れ地での開拓とか。そんな労働力を提供したことへの謝礼金と、もしコイツらがお尋ね者だった場合はその賞金も手に入る」
「なるほど。じゃあ連れて行きましょう。行き掛けの駄賃として」
そう言って私は、盗賊共を次々と亜空間に放り込んで行った。
「お、おい、カリナ。大丈夫なのか!? 中で暴れたりしないか!?」
ラウムさんが慌てて聞いて来た。確かに気持ちは良く分かる。心配にはなるよね。
「大丈夫です。一人一人個室というか個別に収納しますんで。ツルんでなにかをしようとしても、誰とも接触することは出来ませんから安心して下さい」
「凄いな...そんなことまで出来るのか...ちなみにセリカも同じことが出来たりするのか?」
「いえ、私には無理です...そもそも私は無生物しか収納できませんから...」
「そ、そうなのか...」
「セリカさんの能力は時間停止が掛かりますからね。その分制約はあるんですが、私達はそのお陰で出来立ての温かくて美味しい料理をいつでも食べることが出来るんですよ?」
「なるほど...所謂適材適所ってヤツか...」
ラウムさんの表現は的を射ているようでもあり、微妙にズレているようでもあり、なんとも言えない絶妙なラインだった。
ともあれ、盗賊共を収納し終えた私達は旅を再開した。
◇◇◇
その後は何事も無く日が暮れた。領都までは約2日掛かる旅なので、早ければ明日には着けるだろう。
私達は野営するのに程良い場所に馬車を止め、
「では皆さん、今日はお疲れ様でした。ここら辺で野営することにしましょう」
「分かりました。テントを張るから手伝ってください」
「あぁ、いえいえ、アスカさん。テントは必要ありません」
「へっ!? じゃあどうするんです!? 毛布に包まって寝るんですか!?」
「こうするんです」
私はアスカさん含め全員を亜空間に引っ張り込んだ。もちろん馬車と馬も。
「基本、野営は私の亜空間の中で行います。ここなら外敵に襲われる心配もありませんから、見張りとかも必要ないですよ?」
「な、なるほど...」
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