第235話 懲りない面々
しばらくすると、セリカさんが衛兵を連れて来てくれた。
私達はノビている連中を衛兵に引き渡した。これでもうこの連中に煩わされることはないだろう。恐らくは犯罪者が送られるという強制労働所送りになるはずだ。当分シャバには出て来れないだろう。良い気味だ。
「さぁ、やっと片付きましたね。今度こそ美味しいお店に向かいましょうか...ってラウムさん!? どうしました!? 案内してくれないと困りますよ!?」
だがラウムさんは俯いたまま動こうとしない。
「アスカ...ルキノ...本当に申し訳なかった...特にルキノには二度も怖い目に遭わせてしまった...会わす顔が無い...」
するとアスカさんとルキノちゃんは顔を見合わせた後、
「謝らないで! ラウムお姉ちゃんのせいじゃないよ! それにルキノ見てたよ! カリナお姉ちゃん含めみんなでルキノを助けてくれた! だからルキノ、ちっとも怖くなかったよ!」
「る、ルキノ...」
ラウムさんは感極まったのか涙を流している。セリカさんとステラさんも貰い泣きしている。私もちょっとウルッと来た。
「娘もこう言ってますし、もう終わったことですんでさっさと忘れてしまいませんか? それでもまだ申し訳ないと思っているんなら、今日の御飯はラウムさんの奢りってことにしません?」
アスカさんが素敵な提案をしてくれたんで、それに乗っかることにした。
「いいですね! そうしましょう! 皆さん、腹一杯食いましょうね!」
「やった~! ルキノ、ハンバーグ二枚食べていい?」
「止めときなさいルキノ。どうせ残すクセに」
「残さないも~ん!」
「私も食いますよ~! ラウムさん、ゴチになりやす!」
「たまにはハメを外すのもいいですね。今日はとことん食いますか」
セリカさんとステラさんも乗ってくれた。
「ハハハッ、分かった分かった。好きなだけ食ってくれ。私の奢りだ」
ラウムさんが泣き笑いのような表情を浮かべた。
こういうアットホームな雰囲気ってなんかいいよね! ホント良いパーティーになったなぁ! つくづくそう思うよ!
◇◇◇
「うぅ...も、もう食えまへん...」
「く、苦しい...う、動けない...」
「うぷ....や、ヤバい...戻って来そう...」
「ルキノ、だから言ったじゃないの...無理しないで止めときなさいって...」
「だ、大丈夫だもん...ルキノ、やれば出来る子だもん...」
「お前ら、いくら人の奢りだって言っても限度ってもんがあるだろうに...」
さすがに食い過ぎたわ...自分のペースを守っていたアスカさんと、奢る立場のラウムさん以外全員が玉砕した...
あれ!? なんか以前にもこんなことがあったような...気のせいかな...
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