第229話 家に着くまでが

 アナコンダの解体というか皮剥ぎは小一時間ほどで終わった。後には巨大な血塗れの肉塊が残されていた。


 うぅぅ、見ているだけでめっちゃグロいんだけど...


「お疲れ様でした。あの...肉の方はどうするんですか!?」


 私は水辺で剥いだアナコンダの皮をキレイに洗っているラウムさん達に聞いてみた。


「うん? 普通に食べるぞ? ちょっと固くてクセはあるけど中々に美味だぞ? 今ここで食ってみるか?」


「いえ、遠慮します...」


 結局、剥いだ皮と一緒にアナコンダの肉も持って帰ることになった。私は亜空間に収納したくなかったのでセリカさんに任せた。


「さて、終わりましたね。帰ります...か...」


 そう言って私以外の四人を見ると、当然ながらみんな揃って服がアナコンダの血に塗れている。えっ!? 私、こんな人達と一緒に馬車に乗んの!?


 いやいやそれは無いわ~...馬車ん中、血の匂いが充満しちゃうじゃん...


「え~と...ステラさん、お願いがあるんですが...」


「どうしました?」


「服を脱いで貰えませんか?」


「分かりまし...って、えぇっ!?」


「か、カリナさん...そ、そんな...ま、真っ昼間から大胆な...」


「野外でする気か!? そんな趣味があったのか!?」


「あらあら~♪ 若いっていいですね~♪」


「ちょ、ちょっと皆さん! なんか誤解してませんか!? 私はただステラさんに鳥の姿になって貰いたかっただけですよ!?」


「なあんだ...ビックリしたぁ~...」


「それならそうとちゃんと言えば良かったのに...」


「残念ですね~」


 いやいや! そりゃあ言葉が少なかった私も悪いけどさ、勝手に暴走始めたのそっちじゃん! なんか納得行かない~!


「それで!? なんでまた私が鳥になる必要があるんです!?」


「え~と...後で説明します。取り敢えず鳥の姿になって下さい」


「ハァ...分かりました...」


 ステラさんは渋々ではあるが従ってくれた。


「さて、皆さん。血塗れですね? 私は血の匂いが嫌いなんで、家に着くまで皆さんには亜空間の中に居て貰います」


「なんですかそれ!」


「リーダー横暴だぞ!」


「あらあら、強引なんですね~」


 不満タラタラな三人に有無を言わせず亜空間に放り込んだ私は、


「それじゃあステラさん、行きましょうか」


 ステラさんの背に跨がりながらそう言った。


「クエ...」


「あ、途中で乗って来た馬車をピックアップして行きますんで、よろしくお願いしますね?」


「クエ...」


 なんだかステラさんにまで呆れられたような感じがするが そこは敢えて気付かないフリをする。 

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