第228話 戦いの後は

「それじゃあステラさん、水面スレスレに飛んで下さい!」


「クエッ!」


 アスカさんがステラさんに指示を出す。低空飛行に移ったステラさんが、この池だか沼だか...もう面倒だから池でいいか...の向こう岸からこちらに向かって飛んで来る。


「行きます! 凍り付け!」


 アスカさんが杖を掲げると池の一部が凍り付いた。


「プシャアッ!」


 冷気に弱いアナコンダが威嚇音を上げながら水面に顔を出す。やがて冷気から逃れるようにこちら側へと移動を始めた。


「ラウムさん、行きましたよ!」


「応っ!」


 アスカさんは叫びながら冷気を連発してアナコンダを更に追い立てる。それに応えてラウムさんがバスターソードを構えた。


 やがてアナコンダの巨体が水面から姿を現した。


「シャアアアッ!」


 私達を確認したアナコンダが威嚇しながら踊り掛かって来る。


「一刀両断!」


 ラウムさんがバスターソードを一閃する。


「プシュ~...」


 そんな音を立てながらアナコンダの首が吹き飛んだ。まさに一撃! 凄い威力だね!


「うげ...」


 首を飛ばされたアナコンダの胴体から、血がポンプのように吹き出していきなりスプラッタな展開に...私は思わず目を背けた。


「ラウムさ~ん! やりましたね~!」


 地面に降り立ったステラさんの背から降りたアスカさんは、勢い良く走って来てラウムさんに近付きハイタッチを交わす。


「アスカが上手く誘導してくれたお陰だ。ありがとう」


「どういたしまして! それじゃあ早速皮を剥ぎますか!」


「あぁ、そうだな。カリナも手伝ってくれ」


「あ、すいません。私そういうのはパスで。私の代わりにセリカさんがやってくれますんで」


 そう言って私はセリカさんを亜空間から出した。


「カリナさんは血を見るのが苦手なんです」


「なに!? そうなのか!? それは冒険者としてどうなんだ!?」


 やっぱりそう言われるんだねぇ。


「いえ、苦手なのは解体することだけなんで、殺すことに躊躇いは無い人ですよ?」


「せ、セリカさん! その言い方はちょっと...それじゃあ私まるで殺人鬼みたいじゃないですか...」


 失礼しちゃうよね! プンプン!


「解体というか皮剥ぎは私達が手伝いますよ」


 そこへ服を着て来たステラさんが加わった。


「あ、あぁ、分かった...よろしく頼む...」


「カリナさ~ん、蛇の皮を剥ぐのなんて魚を三枚に下ろすようなもんですよ~? 一緒にやりませんか~? 手取り足取り教えてあげますよ~?」


 なにやらアスカさんが誘って来るが私の答えは決まっている。


「丁重にお断りします」


 これだけは譲れない!


 ...威張って言うことじゃないけどね...それは分かってるんだけど、生理的に受け付けないものは仕方ないよね...

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