第209話 温泉街にて

 翌日、この日も温泉宿に泊まる予定だ。


 帰るのは明日を予定している。今日は昨日回れなかった温泉街のお土産物屋を見て回る。朝食を取った後、四人でお出掛けだ。


「この温泉饅頭って美味しそうですね?」


「確かに。ホクホクしてます」


「これは少し買って収納しておきましょうか」


「美味美味~♪」


 ラウムさんは既にパクついている。さっき朝食を取ったばかりで良く食えるな...見ているこっちがお腹一杯になりそうだ...


「こっちには温泉卵なんて物もありますよ?」


「これは...半熟の卵なんでしょうか?」


「これも美味しそうですね。少し買って収納しておきましょう」


「旨旨~♪」


 どうやらラウムさんの胃袋は底無しらしい...


「これは入浴剤ですかね?」


「そうみたいですね。自宅のお風呂でも温泉気分を味わえるってことでしょうか?」


「これも少し買って行きましょうか」


「......」


 ラウムさんは食材以外興味がないようだ...


「こっちは美肌石鹸ですってよ?」


「そういえば温泉の効能の中に美肌効果があるって書いてありましたね」


「これも少し買って行きましょうか」


「......」


 ラウムさんは...以下略...


「これは燻製肉でしょうか?」


「そうみたいですね。温泉の熱を利用して燻したんでしょうか?」


「これも少し買って収納しておきましょう」


「ウマウマ~♪」


 途端にラウムさんが元気になった。ホントに現金な人だな...


「フウ...ちょっと疲れましたね。どっかでお茶しません?」


「いいですね」


「そうしましょう」


「ウム、確かに喉が渇いたな」


 そりゃあれだけ食ってりゃね!


「喫茶店がありますよ?」


「へぇ、地ビールなんかも出しているんですね?」


「地サイダーなんかもあるみたいですよ?」


「どっちも頼んでみよう。それとつまみを幾つか」 


 まだ食うんかい! ちなみに酒飲みはステラさんとラウムさんで、私とセリカさんはまだ未成年ということもありサイダーを選んだ。


「昼間から飲む酒は格別に美味いな!」


 ラウムさんが水のようにゴクゴクとビールを飲み干す。それはまぁいいんだが...


「お姉ちゃん、ビールお代わり!」


 ウエイトレスの女の子をそう呼ぶのは恥ずかしいから止めて欲しい...タチの悪い酔っ払いかよ...ここ飲み屋じゃねぇんだから...


 私達は店側に申し訳なくて小さくなっていた。


 ちなみにこの後、酔っ払ったラウムさんに地酒や地ワインなどのハシゴに付き合わされた私達は疲労困憊となって宿に辿り着いた。


 すっかり出来上がったラウムさんがウザかったので、最後は亜空間に放り込んでやった。


 

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