第197話 仕分け

「お待たせして申し訳ない」


 ちょうど全ての魔石とドロップアイテムをテーブルの上に出し終わった頃、中年のおじさんが部屋に入って来た。


「こちらが鑑定士さんです」


 受付嬢さんが紹介する。


「よろしくお願いします。呪いが掛かっていたら困るので」


 私はドロップアイテムの山を指差す。


「これはまた凄い量だな...分かった。一つずつ鑑定して行こう」


「では私は魔石の方をカウントしますね」


 鑑定士さんと受付嬢さんがそれぞれお仕事を開始したので、私達は邪魔にならないように部屋の隅で大人しくしていた。


 しばらくすると、先に魔石のカウントの方が終了した。


「お待たせしました。こちらが魔石の金額になります」


「こ、これは...」


「す、凄い...」


「ひ、ビックリです...」


 魔石の金額だけで今までに稼いで来た金額を遥かに上回っているよ...これにドロップアイテムが加わって更にあの巨大モグラの魔石まで加わったりしたら...もしかしたらそれだけで、以前ステラさんが言ってた通り本当に一財産築けちゃうんじゃないの!?


 私がそんな夢を脹らませていると、


「ドロップアイテムの鑑定が終わった。結論から言うと呪われている物は一つもなかった。安心していい」


「そうだったんですね。それは良かったです」


 特にあの黒い剣は今や私の愛剣だからね。呪われてないとは思ってたけど、ハッキリ分かって良かったよ。しかしあのリッチが落としたドクロ付きの杖なんか、如何にも呪われていそうだったのに意外だったな。


「どうする? これらも全て換金するか? ただし、貴重なアイテムが多いから手放すのはお勧めはしないけどな」


「貴重なと言いますと?」


「例えばこの黒い剣。これは『破邪の剣』とも言われていてな。邪悪な物ならなんでも斬ると言われている。例え実体のない物であってもな」 


 なるほど。だからゴーストを難なく斬れたのか。


「それとこの杖は『魔導の杖』と呼ばれていて、装備していると攻撃魔法や治癒魔法の威力が上がるという」


 リッチの持っていた不気味な杖にそんな特殊効果が!? もっとも今のウチらにはとっては、ほとんど使い道が無いものってことになるけど。


「あのすいません。特殊効果が有る物と無い物に分けて貰っていいですか?」


「あぁ、ちょっと待ってくれ」


 鑑定士さんが隣のテーブルも使い始めた。そして仕分けが始まる。こうして見ていると牙や爪、角などは特殊効果が無いようだった。


 やがて全ての仕分けが終わった。


「待たせたな。こっちが特殊効果有りで、こっちが特殊効果無しだ」


 特殊効果有りの物は当然ながら少ないね。


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