第186話 ダンジョン攻略27
「うわっと! び、ビックリした...カリナさん、ありがとうございます...」
「いえいえ、間に合って良かったです」
「まさか私の会心の一撃を食らっても立ち上がって来るなんて...」
ステラさんはかなりショックを受けているようだ。まぁ無理もないか。私だってまさかって思ったもんね。
「も、もしかして不死身なんでしょうか...」
セリカさんが怯えながらそう言った。
「さすがにそれは無いと思いますよ。今度は私がやってみます」
私はいつものように亜空間から吸血鬼の背後に回って、人型の魔物なら急所のはずの首の後ろに黒い剣を突き立てた。
ヌルリッ!
そんな感触と共に吸血鬼の首を貫いた。すると「コロン」と音を立てて吸血鬼の首が落ちた。さすがにこれでくたばったことだろう。
「ひっ!」
だがセリカさんが悲鳴を上げた。何事!? と思って見てみたら、
「えっ!? ウソでしょ!?」
なんと吸血鬼は首が無い状態でも普通に動いていたのだ。しかも落ちた自分の首を拾い上げて、元通りにくっ付けようとしている。
私達はその光景を呆気に取られながら見ていた。やがて吸血鬼はまた何事もなかったかのように徘徊し始めた。
「これは...確かにセリカさんの言う通り不死身なのかも知れませんね...」
私達はまさにお手上げ状態だった。
「仕方ない。この魔物も...吸血鬼もスルーすることにして先に進みますか...」
「カリナさん、ちょっと待って下さい」
「ステラさん、どうしました?」
「カリナさんの剣で、魔物の...吸血鬼の心臓を狙って貰えませんか?」
「心臓ですか!? なんでまた!? 首を落としても殺せなかったんですよ!?」
心臓狙っても無駄じゃね?
「昔、聞いたことがあるんです。心臓に杭を打たないと倒せない強い魔物が居ると」
「それが吸血鬼ってことですか?」
「分かりませんが、その可能性は高いと思います」
「分かりました。やってみましょう」
そうして私は再び亜空間から吸血鬼の背後に回り、今度は背中から心臓を貫いた。やはり剣をはスンナリ通った。すると、
「うわぁ...なんだか白い灰みたいになっちゃいましたよ...」
心臓を貫いた途端、吸血鬼の体はボロボロと崩れ落ちた。
「どうやら心臓が弱点っていうのは間違っていなかったみたいですね」
「良かったです。あぁそれと、吸血鬼が纏っていた黒いマントはどうやらドロップアイテムみたいなんで収納しておきましょうか」
確かに黒いマントは消えて無くならないもんね。
さすがに羽織る気にはならんけど。
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