第164話 ダンジョン攻略5

「ハァ...ハァ...ハァ...」


「こっち右の道も行き止まりと。次は左ですね、セリカさん?」


「ちょ、ちょっと休ませて下さいよ! 魔力が持ちましぇん!」


 セリカさんから泣きが入った。


「しょうがないですねぇ。じゃあ10分休憩」


「お、鬼~! 鬼カリナ~!」


 うるさいなぁ。無視無視。


「ところでセリカさん、魔物の姿はありましたか?」


「えっ!? あぁ、いえいえ、全く無かったです」


「そうですか...」


 ステラさんが考え込む。


「ステラさん、どうかしました?」


「いえ、この階層まで降りて来て、ここまで魔物とエンカウントしないのも珍しいと思いまして.. 」


「良いことじゃないですか。きっと今はお休みしてるんですよ」


「そうだといいんですが...」


「おっと、セリカさん。そろそろ10分経ちましたよ?」


「分かりましたよ! 行きゃあいいんでしょ! 行きゃあ!」


 なんだかセリカさんがやさぐれてる。なんでだろう? 不思議だ。


「うきゃあっ!」


 あれ? 左の道の奥に瞬間移動していたセリカさんが慌てて戻って来たぞ?


「セリカさん、どうしました?」


「牛っ! 牛がいっぱい居ました!」


 牛!? ダンジョンの中に牧場でもあんのかな!?


「セリカさん、それは牛頭人身の魔物じゃないですか?」


「そう! それです! なんかゴツい体でデッカい斧持ってました! それがメッチャいっぱい!」


 セリカさん興奮し過ぎ。


「やっぱり...それはミノタウロスですね」


「ミノタウロス!?」


「えぇ、この階層辺りから現れる強敵です。それが群れで居るとなると避けた方が良さそうですね」


「なるほど。じゃあ左は止めて真ん中の道にしますか。セリカさん?」


「はいはい...行きますよ...行きゃあいいんでしょ...」


 セリカさんの態度が更に悪くなった。


「うひょおっ!」


 まただ。すぐ戻って来た。


「セリカさん、今度はなんです?」


「馬っ! 今度は馬がいっぱい!」


 馬だって!? 本当に牧場でもあんの?


「セリカさん、それは人間の上半身に馬の下半身を持った魔物じゃないですか?」


「そう! それです! なんか長い体で弓矢持ってました! それがメッチャいっぱい!」


 セリカさん、ちょっと落ち着いて。


「やっぱり...それはケンタウロスですね」


「ケンタウロス!?」


「えぇ、ミノタウロスと行動を共にすることが多いと言われている強い魔物です。こちらも群れで居るとなると厄介ですね...」


 なるほどね。どちらかの群れを殲滅させないと先に進めないってことか。


 さて、どっちにしようか?

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