第154話 救出2
「えっ!? ステラが!?」
ミランダが目を丸くする。
「まあね。いくらケンカ別れしたとは言っても、アンタらに死なれちゃ寝覚めが悪いからさ」
ステラさんがそう言うとミランダの瞳から涙が溢れる。
「ステラ...アタシ達はアンタにあんな酷いこと言ったのに...ゴメン...ゴメンよぉ~! 助けてくれてありがとぉ~!」
他の二人もミランダ同様泣き出した。傷の手当てをしてあげながら話を聞くと、本当にヤバい状況だったらしい。幸い重傷者は居なかったけど。
「最初の内は良かったんだ...アタシ達はキャシーの索敵能力で着実に敵の居場所を把握し、効率良く狩りを続けていた...」
キャシーという人が、ステラさんを追い出してまでパーティーに入れた人らしい。
「でもその内に...キャシーの索敵で周り中は敵だらけってことが分かったら...次第に身動きが取れなくなって...」
ミランダの声が小さくなる。確かにいくら敵の位置が分かったって、それを打開できる力が無けりゃ意味無いよね。
敵の位置が正確に分かったことで、逆に選択肢を減らしてしまったのか。素早く動けなくなった所を敵に囲まれたと。
ううん、そう考えると情報過多になるのも良し悪しってことなんだね。
「状況は良く分かりました。取り敢えずダンジョンを脱出しましょう」
「えっ!? でもどうやって!?」
「このまま亜空間を進んでダンジョンの外に出ます。あなた方は怪我の治療をしつつ、ステラさんと積もる話もあるでしょうからごゆっくり」
そう言って私はダンジョンの外に向かって進んだ。ミランダ達はまだポカンとしていた。
◇◇◇
「本当にお世話になった。感謝しても仕切れない。アンタらは命の恩人だ。ありがとう...」
「いえいえ、私はステラさん願いを叶えただけですから」
「そうだったな...ステラ、本当にありがとう」
「もういいよ。身の丈に合わない仕事はしない方がいい。私から言えるのはそれだけ」
「肝に銘じておくよ...」
「アンタ達、馬車で来たんでしょ?」
「あぁ、この近くに繋いであるよ」
「じゃあここでお別れね。元気で」
「...あの...ステラ...アタシ達ともう一度一緒にって訳には...」
「行く訳ないでしょ。今更なに言ってんのよ。バカにしないで頂戴」
「...だよな...ゴメン...」
こうして私達は別れた。
ステラさんがハッキリ断ってくれて良かったよ。ちょっとだけ情に絆されるんじゃないかと心配だったんだ。
杞憂に終わって良かった良かった。
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