第124話 望まぬ再会
冒険者ギルドに着いて詳細を報告すると大変なことになった。
それも当然だよね。なにしろ現役の冒険者が犯罪に関わっていたんだから。しかもその手口が悪質と来たもんだ。
なにせ誘拐団捕縛の依頼を受けた冒険者達が実は犯人でしたって言うんだからね。そりゃもう最後はギルドマスターまで出て来る大騒ぎになっちゃった訳よ。
ギルドマスターはナタリアさんとヒルダさんに向かって真摯に謝罪した後、私達にも感謝の意を表してくれた。
「本当にありがとう。君達のお陰でかろうじてギルドの面目を保てたよ」
本来の任務報酬以外に冒険者ギルドの体面を守ったということで、褒賞金を出してくれると言う。もちろん、ありがたく受け取った。
そして私達『エリアーズ』は一躍時の人になった。他の冒険者達から羨望の眼差しで見られてちょっと恥ずかしかった。そして、
「本当にお世話になりました。今度是非ウチの店にいらして下さい。うんとサービスしますんで」
「助けて頂いて本当にありがとうございました。是非ウチの店にもいらして下さい。大歓迎しますんで」
「「 えぇ、必ず! 」」
ナタリアさんとヒルダさんから同じような謝辞を受け、再会を約束し最後にハグしてお別れした。無事に任務を完遂できて本当に良かったよ。
私とセリカさんがホッと胸を撫で下ろしていると、
「お、おい、セリカ」
誰か話し掛けて来た。振り向くと冒険者パーティーと思われる男女が立っていた。見覚えがある。確かセリカさんを貶めてパーティーを追放したヤツらだ。今更なんの用だ?
「マックス...王都に来てたのね...」
セリカさんの声が固い。まぁ当然か。
「あ、あぁ、俺達はこれからダンジョンに挑戦するんだ」
ダンジョン? 王都の近くにあるんだ? 知らなかったよ。
「そう...頑張ってね...」
セリカさんは興味無しって感じで素っ気なく返事をしている。
「あ、あぁ...その...なんだ...お、お前も頑張ってるみたいじゃないか?」
「えぇ、お陰様で...良い人に巡り会えたから...」
そう言ってセリカさんは私の方をチラッと見た。私はコイツらを思いっきり睨み付けてやった。
「そ、そうか...よ、良かったな...」
あぁ、コイツらの魂胆が良く分かった。自分達で追い出しておいて、いざ成功を収めたら途端に惜しくなったってところか。ホントにクソだな。だから、
「セリカさん、そろそろ行きましょう」
そう言ってセリカさんの腕を取って促した。
「はい、カリナさん! じゃあね、マックス」
そして返事も待たずに二人でその場を離れたのだった。
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