第102話 デジャヴな展開

 私はまず誰がリーダーなのか確認するため、ヤツらの話に耳を傾けた。


「クソッ! 一体どうなってやがる!? 誰も居ねぇじゃねぇか! おい! 御者はどうなった!?」


「そ、それがお頭! 御者席にも誰も居ねぇんです!」


「な、なんだとぉ!? じゃあこの馬車はどうやって走ってたっていうんだ!?」


「い、いや、俺に聞かれても...」


 フムフム、なるほどなるほど。ヤツらのリーダーが誰かは分かった。さて、じゃあリーダー以外はサクッと片付けようかなって思った私の耳に、聞き捨てならない一言が聞こえた。


「クソックソッ! どうすんだよ!? 金はもう使っちまったんだぞ!? 女が居ねぇなんて話が違うじゃねぇか!? 依頼人にどう言やあいいんだよ!?」


 金!? 依頼人!? コイツら誰かに金で雇われたってことか!? この馬車を襲ってクリス様を狙ったのは偶然じゃないってことか!? こりゃあしっかりとヤツらの話を聞く必要があるな。


 私はまず、いつものようにヤツらのリーダー以外の輩を1人また1人と片付けて行く。


「なっ!? なんだ!? なにが起こってる!? おいっ! お前ら! しっかりしろ!」


 そしてついにリーダー1人になった。私はリーダーをバインドロープで拘束する。


「なっ!? なにぃ!? なんだこれは!?」


 混乱しているリーダーを亜空間に放り込む。


「うわっ!? な、なんだここは!?」


「お静かに」


「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ! だ、誰だ!?」


「ここは私が魔法で作り出した空間。あなたは囚われの身です」


「な、何者なんだ!?」


「私はこの馬車を護衛している者です」


「ご、護衛だと!?」


「あなたに聞きたいことがあります」


「な、なんだ!?」


「誰に頼まれたんですか?」


 わぉ♪ なんてデジャヴなセリフ♪ 


「ふんっ! 誰が喋るかよっ!」


 ほほう、悪党なりの矜持ってヤツ? でもそれいつまで持つかなぁ? 圧着ペンチをカチャカチャと♪ これまたデジャヴ♪


「な、なんだよそれ!? と、どうする気だよ!?」


「いえね、喋る気になるまで手足の爪を1枚ずつ剥いで行こうかなと思いまして」


 またまたデジャヴ♪


「鬼! 悪魔! 人でなし!」


「あなたのような悪党に言われるのは心外ですねぇ。で? 足から行きます? 手から行きます?」


 カチャカチャ...カチャカチャ...カチャカチャ...


「言うっ! なんでも言うから勘弁してくれぇ~!」


 うん、最後までデジャヴ♪ やっぱり悪党ってのは根性無いよねぇ。まぁいいか。手間が省けたわ。


 さぁさぁさぁ! キリキリと喋って貰いましょうか!

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