第98話 空間魔法使いの矜持
今日で丸々1ヶ月間全く仕事が無い。
いや、金に困ってる訳じゃないからいいんだけどね。それでもさすがに体が鈍って来るし、暇だしやる事ないしでどうしようかと思ってる。
まぁ実際は、仕事が全く無いって訳じゃないんだよ。ある事はある。ただ仕事を選んでるだけ。特に隊商の護衛はこっちから断ってる。
なぜなら、私が空間魔法使いだと知られたら、ヤツらは確実に私を荷物カバン扱いするだろうから。いやヘタしたら荷車扱いかも。
空間魔法使いの矜持として、そんな扱いは我慢できないし、ヘタに空間魔法使いだと広められるのも困る。だから請け負うとすれば対人警護に限るってことになるので、尚更仕事は限定されてしまう。
それだって「小娘一人で護衛なんか到底無理だろ」って言われて断られることも多い。まぁ気持ちは良く分かるよ。私が依頼する立場だったとしてもきっと同じ事を言うだろうしね。
だからと言って、仲間を募るにしても先に述べた理由の通り、私の能力をアテにするようなヤツは勘弁願いたいし、そんなのが仲間になったとしても、きっと良い事なんか何も無いと思う。だったら一人でいいやって思ってる。
こうしてみると私って扱い辛いよね...我ながらそう思うよ...まぁでも、全く需要が無いって訳じゃないと思うから。ほら、例えば女性限定とかね。男の護衛だとなんか頼み辛いってのありそうじゃない? マリス様の時みたいにさ。そりゃ頻度は少ないだろうけど...
そんなことをつらつらと考えながら、今日も冒険者ギルドに足を運ぶ。そろそろ別の場所に移動しみようかなって思っていた時だった。
「あ、あの...出来れば女の人が護衛に付いて欲しいんですが...私、男の人が苦手で...」
受付でそんなことを言ってる女の人が居た。キタ━(゜∀゜)━!
「お嬢様。失礼ですが、女の護衛をお探しでしょうか?」
「えっ!? あっ、は、はい、そ、そうですが...えっと...あなたは?」
「私、こう見えても護衛任務専門の冒険者をやっております。お嬢様。私なんか如何でしょうか? 選んで下されば、決してお嬢様に後悔はさせませんよ?」
えっ!? なんだって!? ナンパしてるみたいだって!? うるさいな! いいんだよ! こちとら久し振りの仕事にありつけるかと思って必死なんだからさ! 細かいことは気にすんな!
「えっと...じゃ、じゃあ、その...お願いします...」
「ありがたき幸せ!」
よっしゃあ~! 久し振りのお仕事GETだぜい~!
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