第67話 イアンとの会談3

「...私はイアン様のことをお慕いしておりました...」


「本当かい!?」


 イアン様嬉しそうだな.. だからこんなことは言いたくないけど、ちゃんと言わないとね...


「でもそれは今思うと、兄という存在に憧れていた家族愛みたいなものだったのかも知れません...」


「兄...そうか...そういうことか...だから君はアクセル王子に...」


 ん? なんでここにアクセル様が出て来るんだ!?


「えっと、それはどういう意味でしょうか?」


「えっ!? あ、あぁ、ミネルバ嬢に聞いたんだ。君がアクセル王子に懸想していて、邪魔だったミネルバ嬢を排除するために酷い噂を流したって...そのためにアクセル王子の婚約者候補から外されてしまったんだって言ってた...」


「私、そんなことしてません!」


 あの女ぁ! なにふざけたことぬかしやがる!


「そ、そうなのか!?」


「寧ろ逆です! ミネルバはアクセル様の側に居る私が気に食わないのか、何度も何度も嫌がらせや刺客を差し向けて、私を殺そうとしたんですよ!?」


「な、なんだって!?」


「イアン様! 目を覚まして下さい! あのミネルバって女は異常です! アクセル様に近付く女には嫉妬して誰彼構わず牙を剥くんです! それだけアクセル様に執着しているんです! 他の婚約者候補の方々にもそれそれは酷い嫌がらせを続けていたんですよ! 中には未だにトラウマを抱えている方も居るくらいなんです! あの女は身分を笠に着て自分より弱い立場の令嬢達に、自分の悪事が露見しないよう圧力を掛けて、何も言わないように口止めまでしてたんですよ! とんでもない悪女なんです!」


「なんということだ...」


 イアン様は頭を抱えてしまった。知らなかったなら仕方ないけど、私のことを信じてくれなかったっていうのはかなりショックだな...


「イアン様がミネルバとどこでどうやって知り合ったのか知りませんが、ミネルバは私に対する殺害未遂容疑と婚約者候補達に対する虐め行為の取り調べのため、日中はずっと王宮に缶詰めになっていたはずです。どこで知り合ったんですか?」


「あ、あぁ、それは王宮の入口でだよ」


「入口ですか!?」


「あぁ、僕はアクセル王子に面会を申し込んだんだけど、断られてしまってね...途方に暮れている所に声を掛けられたんだ」


「待って下さい! それっていつの話ですか!?」


「もう一ヶ月以上も前になるよ。アクセル王子がダメならせめてカリナにだけでも会わせて欲しいって頼んだんだけど、けんもほろろに断られてしまってね...」


 私は言葉を失くした。アクセル様はイアン様がこの国に来てること、私に会いたがっていたことを知ってて隠してた!?


 なんでそんなことを!?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る